タグ: PTSD
震災の時神戸に行って、紛争の南スーダンを経て、23年ぶりに神戸の街を歩いてみて感じたこと
神戸の街を歩きました。
神戸は仕事が目的でしたが、阪神淡路大震災から丸22年経って「日本の目覚め」はどうなったのか?
私たちは何を学んだのか?何が変わったのか?変わらなかったのか、を自分の目で見て感じたいと思ったからでした。
1995年は「ボランティア元年」と呼ばれました。
私も救援物資を集める活動に参加して、1日中鳴りやまない電話の受付けをしたり、神戸へ行って、集まった洗濯機や自転車を配布しました。
ボランティアスタッフの移動と物資の運搬のためにトヨタ自動車が無償で大型バスを提供してくれたり、運輸省(当時)の人も一緒に来てくれたりと、「何か今までとは違うことが起きている」という感覚がはっきりとありました。
1日中鳴り続ける電話をとり続けて、人の中には「自分も役に立ちたい」という気持ちがあるものなんだ、と感じたり、みんなが一つになることによる「人間の底力」も「より大きな力」も感じました。
⬆️三宮駅 神戸市役所すぐ側の慰霊が行われる東遊園公園。
「シンドラーのリスト」など、数々の名作を世に送り出したスティーブン・スピルバーグ監督が「なぜ戦争をテーマとした映画をつくるのでか?」と聞かれて、こう答えています。
「戦争は人間を極限におき、人間の選択を問うからだ」と。
大変な時こそ、人と社会の真価が問われるという面があるのですね。
神戸で読んだ新聞の震災後23年の特集にはこうありました。
「震災がなかったら起業なんて考えなかった。でも一生懸命に生きることが生き残った人の使命だから」
震災がきっかけで奮起された方が人知れずたくさんいらっしゃるのだと思いました。
国や社会全体がどう変わって、変わっていないのかは、改めてもっと詳しく書きたいと思いますが、
「復興」という時、私たちは元と同じように戻ることといった漠然としたイメージを思い浮かべますが、これだけの震災・災害が起きた後で、当然ながら街が単に元どおりに戻るわけではありません。
戦後の経済復興を経て、大きいもの・ハコモノが幅をきかす、それまでの延長ではなく、21世紀に向けて日本はどんな社会をつくりたいのか?どんな価値を新たに生み出し、世界に発信していきたいのか?という私たちの「再生」と「持続可能な社会」のビジョンが求められていたのだと思います。
その宿題は、東日本大震災へ持ち越され、そして少子化、人口減少が急速に進む中で、現在進行形で今でも続いています。
日本人は決められたレールを真面目に懸命に取り組むのは得意ですが、これからは新しい発想や価値を生み出すことにもっと重きをおくことができます。
それから、南スーダンなどにいた体験から感じたのは、それぞれの方の個人レベルでの「傷ついた体験」は23年経ってもまだ癒されていない面が大きいのではないか?ということでした。
南スーダンにしろ、いわゆる「トラウマ」の影響というのは、時間が経てば自然に解消するものではありません。
そうした影響は「世代間トラウマ」と呼ばれ、数十年、大きな戦争になると100年(4世代〜5世代)単位で影響があるとも言われています。
神戸生まれ・神戸育ちで、自らも被災して、避難所暮らしを送ったという友人に区役所や公園を案内してもらいましたが、被災して住宅をなくして以来、大阪や東京へ引っ越して「神戸はこわい」とそれ以来ほとんど戻ってきていない人も実はけっこういるということでした。
東日本大震災のときに始めて、「ああ自分は当時の影響がまだ残っているかもしれない」と気づく人も多かったそうです。
東日本大震災でこそ、心のケアや傾聴ボランティアがより一般的に認知されましたが、1995年当時はPTSDやトラウマケアという言葉もほとんど知られていませんでした。
また、ベトナム戦争やアフガンとイラク帰還兵がごく身近に存在して、PTSDが一般的な社会問題として認識されているアメリカと違い(逆になんでもPTSDというレッテルを張り過ぎる傾向もありますが)、また、日本人の気質からそうしたことを話したり、認めることは「恥」であるという感覚はまだ強いように感じます。
ただ、最近では、トラウマケアは「心の傷」というよりは、全身体的な課題であって、PTG (post-traumatic growth=トラウマ後の成長)という概念があるように、新しい自分に生まる「再統合」の機会としても認識されています。
人間は危機を体験すると、本能的に「闘争/逃走反応」 (fight or flight)として知られる「戦う」、または「逃げる」行動をとります。
戦うことも逃げることもできなかった時には、身体は文字通り身体はフリーズし、竜巻のようなエネルギーが外へ解放されず身体の中に溜まることになります。
そのエネルギーが数週間のうちに解放されるか統合されないと、いわゆる「トラウマ」の状態を引き起こすことになります。
危険を察知し身体全体に信号を送る「扁桃体」は、まだ「非常事態」が続いていると認識するため、「交感神経」が 優位になり、副交感神経系が機能できません。
結果、常に身体に緊張や凝りがあったり、眠りが浅い、リラックスできなかったり、不安や怖れが深い部分で残っていたりします。
鹿などの小動物がライオンやチーターなどの肉食動物に追われてうまく逃げられた時、 追われた動物は、「ぶるっぶるっ」と体を震わせて生体に留まっていたエネルギーや恐怖をふるい落とします。
人間の場合、動物のようにエネルギーの解放ができるわけではないので、人間は身体に残っているトラウマのエネルギーを意識的に外に出す(解放する)必要があります。
南スーダン勤務による二次受傷(PTSD)からの回復した自身の体験を基に、丁寧に向き合います。
どうぞお気軽にご連絡ください。
info(at)peaceblossom.net
2018年はどんな年なのか? 2017年は新しいサイクルの始まり。2018年は🙆🙆🙆の年。
2018年はどんな年なのでしょうか?
2017年は、新しいサイクルの始まりの年で、土台作りの年でした。
2017年は、2+0+1+7=10=1+0=1という、「1」というはじまりの数字に象徴されるスタートの一年でした。
新しい時代を
自分が自分に正直に生きることができるように、
自分で自分の望みを大切にしていなかった部分や
自分の人生を人任せにしてきたところ、
自分じゃ無理、自分じゃできないから、という気持ちで誰かに頼って、自分を優先していなかった部分などが明らかにされました。
自分にとって大切なものは何か、自分はどんな生き方をしたいのか?という自分の発想や理想を広げ、ほんとうに大切なものにたち戻させてくれるエネルギーがありました。
自分にとって理想のライフスタイルとはどんなものか?という自分の価値や優先順位を明確にしてくれる流れがありました。
「働き方改革」と呼ばれ、私たちが気づきを促されていたものの本質は「生き方改革」でした。
私自身、5年ほど住んできたところで駅前の再開発がはじまって、引っ越しをすることになりました。
リビングを何色のカーテンにしたいのか?というところから始まり、自分はどんなところに住みたいのか?どんなライフスタイルを送りたいのか?、と石垣島多拠点生活も視野に入れながら、一から自分の理想のライフスタイルを改めて考える機会になりました。
「理想のライフスタイル」といってもフワフワしたものではなく、
自分が導かれていることに対して「覚悟」が求められる機会だった、という方が真実に近いですが、引っ越しが「断捨離」とはほんとうのことで、引っ越しも落ち着き、多摩川沿いの澄んだ空気に引っ越しの恩恵を感じながら、12月からは気分すっきり新たな気分でいました。
さて、2018年は、具現化の年です。
占星術や星回りで言われているように、2018年は、2017年に築いた土台に建物を建てていく建設、実現、クリエーションの年です。
http://foreverconscious.com/astrology-forecast-2018
具現化といってもこれまでの延長ではなく、自分にとって大切なものを創造、築いていくというニュアンスです。
これまでの流れの中で、自分の中で明らかになったことを、着実に実行にうつしていく年です。
着実に
着実に
着実に
実行していく年です。
私自身、年明けの満月と共に去年とエネルギーの違いをヒシヒシを感じていました。
2018年もペースの早い年になるでしょう。
だからこそ、自分の中で優先順位をはっきりと持つことが求められます。
2018年は思いたったら早めのアクションがいいでしょう。
同時に、2018年は、日々のタスクを確実にこなしていく「着実性」が大切です。
しっかりとした2018年の目標(自分のフォーカス)を持ち、それを4半期の目標に落とし込み、月の目標と週の計画をたて、日々の優先順位を明確に、日々のタスクを確実にこなしていくことです。
目標やタスクと言っても、世間が言う成功のためでもなく、誰かに押し付けられるものでもなく、自分を無理やり駆り立てるものでもなく、自分が自分にとって大切なことを大切にできるために、優先順位を明確にして、しっかりと地に足をつけて動いていく、というイメージです。
もし、目標や計画、タスクと聞いて「重荷」のように感じる部分があるとしたら、まだ他人の価値観を優先させている部分があるでしょう。
自分にとって大切なことに正直になって、自分が自分の幸せを最優先にすると決めましょう。
そして、 2018年の特徴でもう一つ大切なことは、「何をやるか」よりも「なんのためにやるか」(目的、動機と意図)が大事なことです。
これまでの時代では、一見やっていることは同じに見えて、なんとかごまかせたことでも、これからの時代では「目的・動機の差」が大きな差となって表われてくるように思います。
年末の大手企業の不祥事(データ改ざん等)は、そのようなメンタリティー・体質の限界を示してくれたと思います。
そして、組織の理念やトップの意識レベルが一人一人の仕事の充実度にもますます直接的に関係してくるでしょう。
2018年も密度の濃い年になるでしょう。
周りに流されないで、充実した年にするためには、自分の目標(自分のフォーカス)をしっかりと持つことが大切です。
もしまだでしたら、2018年の目標を文字にして手帳に写し、月や週の実行プランや優先順位を日々書き出していくことをお勧めします。
2018年、自分の目的をしっかりと据えて一歩一歩着実に進んでいきましょう。
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2018年は動く(うごく)年!2018年にやるべきことがわかる13の質問
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無関心や孤立、寛容性が下がる「社会的なトラウマ」 という現象ーその連鎖と国連関係者が学ぶ「どうしたら憎しみの連鎖を防げるのか」という理論
先日はトラウマとは単に「心の病」というよりは、「身体に残り外に出切れていないエネルギーである」とお伝えしました。
アメリカでは10人に一人がPTSDと言われるくらい、トラウマやPTSDが過剰に診断される状態があるとも指摘され、
すべてを「トラウマ化」する必要はない、と断っておいた上で、
トラウマと暴力の連鎖のメカニズムと、それを乗り越える過程を理論化したものして知られる
The Center for Justice and Peace-buildingの Strategies for Trauma Awareness and Resilience(STAR)より、トラウマが日常的にどういう風に現れるのかお伝えしたいと思います。
⏫ The Center for Justice and Peace-building, Strategies for Trauma Awareness and Resilience: STAR)より
一般的にはこのような状態がみられます。
・判断能力が低下し、何かに対する事象を恐れとして認知しやすくなる。
・コミュニケーション能力が低下し、特に共感性が下がる
・柔軟性や寛容性が下がる
・直接何かが起こったわけでもない個人との関係において緊張や対立がおこる
・無関心や孤立
・自分の被害ばかりに目がいき、他者の視点で見ることができなくなる(歴史、係争、関係性)
さらに、そのエネルギーが内に向けられるか(acting-in)、または外に向けられるのか(acting-out)?に分けられます。
内に向けられた場合には、以下のような症状が見られます。
内に向けられた場合:
・依存 (インターネット、薬物、買い物、セックスなど)
・過食症・拒食症
・仕事中毒
・自傷行為
・うつ
・不安
・頭痛や身体の緊張など・慢性的な痛み
・病気(身体的症状)
・自殺
外に向けられた場合には、以下のような症状が見られます。
外に向けられた場合:
・ドメスティックバイオレンス(DV)
・虐待
・犯罪行為
・リスクを犯したがる
・攻撃的な行為
・暴力行為
・戦争
社会的・集合レベルでは次のようなトラウマのサインを見ることができます。
・無関心(国の政策や政治や社会に対する無関心)
・黙る(表現の自由の抑圧、真実が語られなくなる)
・共感や寛容性のうすれ
・二元論(ゼロか100か、こちら側かあちら側か)
・ 人との繋がりが希薄になり信用できなくなる
・環境の悪化
・性の軽視や売春の増加
・薬剤の使用量の増加
トラウマはそれに苦しんでいる当事者が自分で心の痛みを癒し、その体験を完了させなければ、さまざまな 形で次の世代や社会に引き継がれると言われています。
最近は、トラウマと暴力の連鎖だけでなく、それを乗り越える過程も理論化されています。
これは、9.11をきっかけに始まった「どうしたら憎しみの連鎖を防げるのか」という研究から生まれまし た。
今では、「Strategies for Trauma Awareness and Resilience: STARプログラム」として知られ、私も国連の研修の一環で参加したことがありますが、米政府や国連関係者、アフガニスタ ンやイラク従事者をはじめ、ドイツ、ケニア、レバノンなど世界60ヵ国から参加者が集まるプログラムとして知られています。
STARは、米国で起きた1995年のオクラホマシティ連邦政府爆破事件の被害者が「和解」へ向かっていた 過程などを理論化し、紛争を根本から解決するには、個人が心の傷やトラウマの体験を癒すことが重要だとしています。
STARに理論によると、寛容性の低下や排他主義といった排除型の暴力も、トラウマと暴力の連鎖の一つだと説明することもできます。
報復の「連鎖」を根本的に解決するためにも、こうした連鎖のメカニズムとそれを断ち切るのは何か?と理解することは役に立つと思います。
STARの理論では以下のステップが説明されています。
(#1)身の安全
(#2)なげく・自分のストーリーを話す
(#3)Why me? ⇒ Why them?なぜ私?からなぜ相手?への視点
(#4)相手の「ストーリー」を理解する
(#5)ストーリーが書き換わる
(#6)ゆるし
(#7)正義(restorative justice)
(#7)和解
こちらについてはまた説明したいと思います。
個人的なトラウマやPTSD(援助従事者による二次受傷、セカンダリートラウマも含む)の回復プロセスについてはこちらで説明しています。
トラウマとまで言わなくても、人生では自分の思うようにならない時もあれば、理不尽なことも起こります。一人ではどうしたらいいのか分からなくなることもあるでしょう。
そんな波の中にいる時にどうしたいいのか?
少しでもそんなヒントになるように、トラウマやPTSDの回復理論やレジリエンスに関する研究と私自身の燃え尽き症候群やPTSDからの回復体験を質問形式にしてまとめました。
ここで挙げている質問は、リラックスして、まずは眺めてみて、思い浮かぶことをありのままに観察してみるというアプローチをオススメします。
質問を読んでもに何も思いつかなくても、ふとした瞬間に何か思い浮かぶ事もあるでしょう。
自分が前に進んだからこそ、意味を持ってくる質問もあるので、ぜひ定期的に眺めてみて下さいね。
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目次
あ、今の自分の状態について把握する
い.自分の「ストレス反応」を知る
う.今気になっていることについて観察する
え.喪失 (後悔、自責、サバイバーズギルト)に気づく
お.自己像、自己肯定感、自己受容度に気づく
か.自分の中の「不安」を意識化・言語化する
き.自分のコーピングスタイルを知る
く.自分と相手との優先順位(境界線)と当事者レベルを知る
け.自分のストーリー(解釈・認知)に気づく
こ.回復のストーリーをみつける
さ.試練の中の「意味」について知る
し.再結合・新しい自己の創造
す.回復・再生のためのステップ
せ.トラウマからの回復・再生のプロセスで体験しうること
そ.トラウマからの回復の三段階
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イースタンメノナイト大学 (Eastern Mennonite University )によるトラウマのサイクル理論 ①
「暴力の連鎖のモデル」の概要:トラウマの理解と暴力の連鎖
どうしたら「憎しみの連鎖」を断ち切ることができるのか?どうしたらその人の中で紛争が終わったと言えるのか?ゆるしや和解を促すものは何か?ー私がそのような問いに向き合うことになったのは、独立前の南スーダン(スーダン共和国の「南スーダンと呼ばれる地域」)で国連職員として元兵士の社会統合支援に従事していた時でした。
当時、私が関わっていた元兵士の人たちの社会統合を支援するDDR支援(武装解除、動員解除、社会復帰プログラム=Disarmament, Demobilization and Reintegration: DDR)では、除隊兵士の人たちに、生計を立てるための新しいスキルや手段を身につけるサポートとして、職業訓練、農業支援、小規模事業支援(SME)と教育支援を行っていた。約40年続いた南北スーダン間の内戦を停戦させた「南北スーダン包括和平合意(Comprehensive Peace Agreement:CPA)」が、2005年1月9日に締結されてからすでに2年が経っていたものの、長年の内戦の影響で、道路や建物といったインフラも物資も驚くくらい限られ、職業訓練を提供すること、施設を建てることは、文字通りネジ一つから屋根まで隣国のウガンダかケニアから運んでくることを意味した。提供する側にとっても受ける側にとっても、多大な労力が求められたが、チャレンジを一つ一つ乗り越え、人々が少しづつでも前向きに前進していく様子に触れることができるのは光栄なことでした。
同時に、元兵士の人たちに接する中で明確に理解することに至ったのは、紛争後の復興においては、それがどんな分野であっても、紛争を肯定し、生み出した社会的背景、紛争の社会心理面における影響、人々にその自覚があるかないかにかかわらず「あの紛争はなんだったのか?」といった心の整理を求める感情面でのニーズを完全に切り離して、支援を行うことはできない、という理解でした。
これまでトラウマの課題は、難民や国内避難民や性的被害にあった女性(男性も含む)など、特殊のニーズを持った人々の課題であると狭義的な意味で捉えられてきた傾向があったののの、その課題やその影響が、より広義的に、その社会において紛争を生み出し、継続させる背景にある、という理解が広まってきています。また、トラウマは、個人と対象とする癒しや心理的なケア、また人を「治療」する課題というだけでなく、社会の根底に存在する構造的な課題や、また、それを正当化させ、継続させる社会文化的パターン、または質的な関係性にわたしたちの意識を向けさせてくれるものである、とも言われています。
そのような課題意識を元に、ここでは、世界の平和構築分野・平和支援の実務家や研究者に知られ、ソマリアの大統領等、現在に至るまで約60の国と地域からすでに8000人近くの人たちがトレーニングに参加しているSTAR(Strategies for Trauma Awareness and Resilience)と呼ばれるモデルを紹介したいと思います。
STARプログラムと「暴力の連鎖のモデル」のはじまり
STAR(Strategies for Trauma Awareness and Resilience)プログラムは、2001年に米国で起きた同時多発テロ事件をきっかけに生まれた。30年間にわたって中南米、アフリカ、アジア、ヨーロッパの各地で紛争の調停や助言にかかわり、当時、Eastern Mennonite UniversityのCenter for Justice and Peacebuilding Studiesの所長(創設者)であったジョン・ポール・レデラックをはじめ、この出来事を通して更なる報復と暴力が生み出されて行くことを予感した研究者の有志と3つの教会組織のトップが集い、暴力の連鎖を断ち切るためのトラウマに対する理解と方法論の確立、実践的なトレーニングの必要性を強く感じ、トレーニングが開始されました。
このSTAR(Strategies for Trauma Awareness and Resilience)プログラムの特徴の一つは、「暴力の連鎖を断ち切るモデル」(Breaking the Cycle of Violence)と呼ばれる、どのようにトラウマが暴力や憎しみの負の連鎖をつくっているかを示す「暴力の連鎖(cycle of violece)」と、暴力の連鎖を超え、平和へ向かっていく地域、社会・国の特徴とその過程についての見取り図を示すメカニズムと示している点です。
このモデルの特徴として挙げられるのは、まず第一に、紛争の影響をもつ社会におけるトラウマの影響を個人、または社会全体への影響、世代を超えた影響という観点について、脳科学、心理学、修復的司法(restrative justice)、人間の安全保障、紛争変容(conflict transformation)といった包括的な視点から解説されていること、また、第二に、トラウマについては、従来、心理的側面に焦点が当てられる傾向がありましたが、トラウマは身体的、生理的、脳の神経系統への影響を及ぼす脳科学的な現象であるという理解がされている点です。
第三に、このモデルの特徴として特記したいのが、暴力がさらなる暴力を生み出す負の連鎖のメカニズムが提示されている点です。トラウマ体験は私たちの内に負のエネルギーを生み出し、そのエネルギーが発散されずに温存されると、更なる暴力を生み出して行きます。これは、Acting In、Ating Outと呼ばれ、癒されず身体と心に残ったトラウマが内に向かう(Acting-in)場合と、外に向けられる(Acting-Out)場合があります。
内に向かう(Acting-in)場合には、アルコールや中毒、過食症・拒食症、自傷行為、受動攻撃、落ち込み、うつといった形として現れ、外に向けられる(Acting-Out)、怒り、不寛容、口論、攻撃性、犯罪、DVといった身体的暴力となって周囲の人に影響を与えます。
以下の図は暴力の連鎖の仕組みを体系化した図ですが、個人レベルにおけるトラウマの体験だけでなく、こうしたトラウマのサイクルが社会レベルにおいても繰り返されていることを教えてくれています。
次に、被害者サイクルと加害者サイクルの各項目を紹介していきます。
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
元国連職員でカウンセラー・セラピスト
国連勤務を経て、海外でトレーニングを受けた信頼と実績を持つコーチが、安心と効果を直に実感できるメソッドを提供します。
国連ニューヨーク本部、南スーダン、東ティモール等で現地国政府の人材育成や元兵士の社会復帰支援に約10年従事に従事。紛争国での体験から、リーダーシップや仲裁について研鑽を積む。米軍の専門家として、世界的な研修プログラムにおいて唯一の日本人女性として講師を務める。
帰国後、PTSD(二次性外傷性ストレス)と燃え尽き症候群になり、起きれなくなる。リックウォーレン師などが進めるCelebrate Recoveryという再生プログラムを通じて癒しと回復、再生を体験。同じ様な体験をしている人たちをサポートしたいという思いからコーチングとヒーリングを始める。
医師、医療従事者、国連職員、ビジネスパーソン(製薬、銀行、製造業など)、政府機関職員、地方公務員、NGO職員、通訳、カウンセラー、ソーシャルワーカー、クリエーター、大学生、中学生など多くの人から支持される。
《主な資格》
在米国バージニア州 Eastern Mennonite University (EMU) The Center for Justice and Peace-buildng, Strategies for Trauma Awareness and Resilience: STARトレーニング修了。
Facebookの最高責任者サンドバーグさんが突然夫を亡くしてから言ったこと「人はどんなことを成し遂げたことだけでなく、(逆境を)どう乗り越えたかで判断される」
「レジリエンス」「逆境力」
人が困難な状況から再び立ち上がっていくプロセスに注目が集まっています。
例えば、レジリエンスという概念が注目され、「精神的回復力」、「復元力」
などと訳されています。
Facebookの最高執行責任者のサンドバーグ氏が、「どうしたら女性が仕事で成功できるか」を書いた前作「LEAN IN」発表後、突然の事故で最愛の夫を失い、いかに逆境に向き合いそれを乗り越えるか「レジリエンス」について学ぶことになった、と語っています。
その時の体験については今年5月にカリフォルニア大学バークレー校の卒業式のスピーチで、初めて公けに彼女の体験や心境について語っています。
その中で、彼女は「人はどんなことを成し遂げたことだけでなく、(悲劇的な状況を)
どう乗り越えたかで判断される」という言葉を残しています。
また、全世界でもっとも視聴されたTEDベスト5にランクインし続けるブレネーブラウンの最新刊「立て直す力」も、人はどうしたらそんな状況から立ち上がれるのか?まさに似たようなことをテーマにしています。
逆境力、レジリエンス、回復力、立て直す力、トラウマ後の成長(post-traumatic growth) ー 言葉こそ違えど、そんな人たちの体験やPTSDからの回復に関する研究からは、ある共通項があることがわかりつつあります。
そうした過程にある共通点の一つは、自分のストーリーの再構築です。
自分の人生のストーリーを紡ぎ直すことです。
同じ場にいて、同じ人の話しを聞いていても、人それぞれ印象も覚えているところも違うことを体験したことがありますか?
私も南スーダンで分析の仕事をしていた時、同じ国にいて同じ人から同じ話しを聞いても人によって視点がまったく違ってびっくりしたことがあります。
そう。「現実世界」は一つしかないように見えても、感じ方・読み取り方は人それぞれ本当に違います。
社会認知に関する研究が示すとおり、私たちは人それぞれの「認知」や「観念」「レンズ」を通じて、身の回りの出来事や世の中を見ています。
つまり、自分が「事実」だと思っていることと、自分の「解釈」や「物語」とは同じとは限らない、ということです。
人間は「意味」を求める生き物なので、人は日々目にすること、耳にすること、体験することを自分なりの視点で判断し、「意味付け」しながら生きています。
そうして日々意味付けされたものの連続が、その人の「人生の物語」をつくっている、と言えます。
もっと言うと、自分の「解釈」や「物語」こそが、日々の「体験」をつくっている、とも言えます。
場所や職場、関わる人が変わっても、似たような体験をすることがあるのはこのためです。
「逆境」は、自分の「解釈」や「人生の物語」を含め、それまで自分が考えも疑いもしなかったことを見直す機会をくれます。
じゃあ、今度は、自分はどんな物語を紡ぎたいのか、どんなことを体験したいのか?
まったく新しくフレッシュに自分の「ストーリー」「物語」「体験」を始める機会を持てるのです。
「人生ってどうせこんなもの」?
「人生は苦労するもの」?
「人生は奇跡と喜びに溢れている✨✨✨」
せっかくなら、そんな物語がいいなと、私自身これを書きながら改めて思っているところです!
トラウマとまで言わなくても、人生では自分の思うようにならない時もあれば、理不尽なことも起こります。一人ではどうしたらいいのか分からなくなることもあるでしょう。
そんな波の中にいる時にどうしたいいのか?
少しでもそんなヒントになるように、トラウマやPTSDの回復理論やレジリエンスに関する研究と私自身の燃え尽き症候群やPTSDからの回復体験を質問形式にしてまとめました。
ここで挙げている質問は、リラックスして、まずは眺めてみて、思い浮かぶことをありのままに観察してみるというアプローチをオススメします。
質問を読んでもに何も思いつかなくても、ふとした瞬間に何か思い浮かぶ事もあるでしょう。
自分が前に進んだからこそ、意味を持ってくる質問もあるので、ぜひ定期的に眺めてみて下さいね。
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目次
あ、今の自分の状態について把握する
い.自分の「ストレス反応」を知る
う.今気になっていることについて観察する
え.喪失 (後悔、自責、サバイバーズギルト)に気づく
お.自己像、自己肯定感、自己受容度に気づく
か.自分の中の「不安」を意識化・言語化する
き.自分のコーピングスタイルを知る
く.自分と相手との優先順位(境界線)と当事者レベルを知る
け.自分のストーリー(解釈・認知)に気づく
こ.回復のストーリーをみつける
さ.試練の中の「意味」について知る
し.再結合・新しい自己の創造
す.回復・再生のためのステップ
せ.トラウマからの回復・再生のプロセスで体験しうること
そ.トラウマからの回復の三段階
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「レジリエンス」や「逆境力」こそこれからの時代に求められる力ー人が困難な状況から再び立ち上がっていく過程にある共通点とは?
最近は人が困難な状況から再び立ち上がっていくプロセスへの注目が集まり、ある共通項があることがわかりつつあります。
例えば、最近では、レジリエンスという概念が注目され、「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」というように訳されています。
また、これからの時代には、IQやEQ以上に様々な逆境に対応する力(逆境力)こそが重要であるとも言われ、ハーバードビジネススクール客員教授のポール・ストルツ(Paul G. Stoltz)博士によって、「AQ(逆境指数)」という概念も提唱されています。
レジリエンスという概念が生まれたのは、第二次世界大戦後でした。
ホロコーストで孤児となった子どもの追跡調査で、過去のトラウマから抜け出せずに不幸な暮らしをしている元孤児がいる反面、トラウマを克服して仕事や家庭が充実している元孤児もいることがわかったからでした。逆境を乗り越えられた人たちは、レジリエンス、復活力を持っているとされたのです。
日本で「レジリエンス」という概念が言われ始めたのは、震災からの復興や人々の再起という文脈でした。
また、トラウマケアの分野には「トラウマ後の成長」(post-traumatic growth)という概念があります。
人は単に「回復」するのではなく、文字通り「成長する」という概念です。困難は時に人の内面を根本から揺さぶるため、それによって人を生まれ変わらせる作用があるため、と説明されています。
もちろん、実際の体験は、単に理論や概念だけで語ることのできるものではなく、感情的な混乱や痛みなど様々なチャレンジがあります。
トラウマとまで言わなくても、人生では自分の思うようにならない時もあれば、理不尽なことも起こります。一人ではどうしたらいいのか分からなくなることもあるでしょう。
そんな波の中にいる時にどうしたいいのか?
少しでもそんなヒントになるように、トラウマやPTSDの回復理論やレジリエンスに関する研究と私自身の燃え尽き症候群やPTSDからの回復体験を質問形式にしてまとめました。
なぜ質問形式なのかと言うと、人それぞれ性格や状況や要因も違うので、「こうしましょう」という決まった一つの方法を示すことはできないからです。
ここで挙げている質問は、リラックスして、まずは眺めてみて、思い浮かぶことをありのままに観察してみるというアプローチをオススメします。
質問を読んでもに何も思いつかなくても、ふとした瞬間に何か思い浮かぶ事もあるでしょう。
自分が前に進んだからこそ、意味を持ってくる質問もあるので、ぜひ定期的に眺めてみて下さいね。^^
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目次
あ、今の自分の状態について把握する
い.自分の「ストレス反応」を知る
う.今気になっていることについて観察する
え.喪失(後悔、自責、サバイバーズギルト)に気づく
お.自己像、自己肯定感、自己受容度に気づく
か.自分の中の「不安」を意識化・言語化する
き.自分のコーピングスタイルを知る
く.自分と相手との優先順位(境界線)と当事者レベルを知る
け.自分のストーリー(解釈・認知)に気づく
こ.回復のストーリーをみつける
さ.試練の中の「意味」について知る
し.再結合・新しい自己の創造
す.回復・再生のためのステップ
せ.トラウマからの回復・再生のプロセスで体験しうること
そ.トラウマからの回復の三段階
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《プロカウンセラー・コーチ大仲千華》
国連ニューヨーク本部、南スーダン等で元兵士の社会復帰支援や現地国政府の人材育成に約10年従事に従事。
南スーダンでは80人強の多国籍チームのリーダーを務め、紛争国での現場体験から、リーダーシップや仲裁について研鑽を積む。
米国政府の専門家として、世界的な研修プログラムにおいて唯一の日本人女性として講師を務める。
帰国後、PTSDから燃え尽き症候群になり、何もやる気がない・起きれなくなる。
心理学やカウンセリングを学び始め、自分の限界やシャドーを受け入れ、統合していくことを学ぶ。海外でトラウマ解放メソッドのトレーニングを受け回復する。
同時に、直感能力とヒーリング能力が飛躍的に開花。
同じ頃、似たような体験を持つ人、社会や人の役に立ちたいという人たちから相談を受けるようになり、もっと日本で自由に生きる人を増やしたいと思いコーチング・カウンセリングを始める。
心理面だけでなく、生理学的機能や脳との関係を踏まえたトラウマエネルギーの解消、豊富な経験と実体験に基づいた職務や人間関係の課題に対するフィードバックを合わせた統合的なセッションは医師、国際機関、ビジネスパーソンなどから支持を受けている。
スリランカ政府防衛省、フィリピン政府防衛省、バングラデシュ政府防衛省、大学など講師歴多数。
クーリエジャポン(講談社)で好評連載中⇨答えを求めない勇気
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上司に相談12.7%、12.9%の人が会社を退職ー多くは仕事の悩みを安心して相談できる相手がいない という実情
燃え尽き症候群やパワーハラスメントの相談件数が年々増えています。
厚生労働省が平成28年に行った「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、
過去3年間でパワーハラスメントを受けたり、見た・相談を受けたという人は、およそ3人に1人となっており、前回の平成24年調査から大きく上昇しています。
このように、燃え尽き症候群やパワーハラスメントは誰にも起こりうることです。
同時にパワーハラスメントを受けた人で、上司や社内の相談窓口に相談した人は12.7%にとどまり、家族や社外の友人に相談した人が20.3%と一番多く、12.9%の人が「会社を退職した」と回答しています。
この調査結果からも伺えるように、働いている人の多くは仕事の悩みを安心して相談できる相手がいない という実情があります。
では、パワハラとは何が本当の問題なのでしょうか?
私自身も国連でパワハラを受けたときには悩みました。
自分がやるべきことは淡々とやりましたが、電気もお湯もないような任地で、国連の1年目分からないことだらけだったので、大きなストレスと精神的な負担になったのは言うまでもありません。
その後、私は部下を持つようになり、南スーダンでは多国籍チームのリーダーを務めるようになりました。上司になって新たに見えたこともありました。
今度はカウンセラーになって新しく見えることもあります。
「パワハラ」では、人間関係のくせやこれまでの「課題」が「噴出」して現れることがあります。
新しいステージへ上がるために、自分の課題や生き方を見直すのは大切なことです。
何が本当の課題なのか?
何を学ぶ機会なのか?
自分はどうしたいのか?
まずは、今の自分の状態や体験を落ち着いて整理することが大切です。
今の自分の状況を整理して、ではどうしたらいいかを考えられるように、自分の体験と相談を受ける中で気づいたことを質問形式にまとめました。
なぜ質問形式なのかと言うと、人それぞれ性格も違うし、会社や上司の状況とかいろんなことが違うので、「こうしましょう」という決まった一つの答えはないからです。
今の自分の状態や体験が整理でき、理解できると、自分の奥からほんとうの力が湧いてきます。
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「だからこそあなたが輝くための105の質問」
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仕事や人間関係 ー 情けなくてもどんくさくてもそれでも前に進む
「ああ、自分って情けない」と感じる時。
あんな風に振舞ってしまった自分が情けなくなってしまう時。
あまりにもちっちゃい自分。。。
ああ、情けないし、泥臭いけどそれも私。
そんな自分だけど一歩づつ前に進んでいこう。
たった一ミリでもいいから。
自分が新しい体験をしていることをお祝いしよう。
燃え尽き症候群とPTSDからどうやって回復したのかーその体験から今同じような体験をしている方にお伝えしたいこと
もう同じアプローチでは限界。
もっと別のやり方があるんじゃないか?
より高い次元のアプローチを見つけたい。
南スーダンや国連ニューヨーク本部等で約10年間、国連職員として和平合意の履行支援や元兵士の社会復帰支援に関わり、国連を辞めると決めた時のことです。
南スーダンでは、大きなプロジェクトの多国籍チームのリーダーを務め、長い間不可能だと言われていた南スーダン独立のための住民投票が実施されるのを見届け、「やりきった」と感じていました。
なんらかの形でまた「世界」に関わりたい。でも、何か違ったやり方があるはず。
ナイル川を見ながら、それがどういう意味か分からないけど、漠然とそう思ったのを覚えています。
しかし、帰国してからの私は、そんな思いとはほど遠い状態でした。
それまでの緊張の糸がプッツンと切れてしまったのでしょう。
私の身体は空っぽになってしまったかのように、まったく力が入らなくなってしまいました。
国連での勤務を終え、日本に帰国した後、もしかしたら何かがおかしいんじゃないか?と初めて感じたのは、満開の桜の下に立っていた時でした。
10年ぶりの桜を楽しみにしていたのに、満開の桜の真下に立ちながら、私にはうんともすんとも、美しいとも、きれいだとも何も感じることができなかったのです (PTSDの過程の中で、人間の「防衛反応」として、感情を抑圧し、numbingという無感覚になる過程があります)。
一日のルーティンといえば、ゆっくり起きて近くを散歩するのがやっと。
人に会う気力もないし、こんな姿を誰にも見られたくない。。。
少しよくなって動けるようになったと思ったら、また起きられない。。。
ともかく身体が「重い」のです。。。
紛争を思い出させるものに触れたくなかったのか、私は世界のニュースを見ることもなくなりました。南スーダンに関する記憶は断片的で、思い出す部分もあれば全く思い出せない部分もありました。
当時、私が「二次的外傷性ストレス」(secondary trauma)と呼ばれる症状を受けていたことを知ったのはもう少し後のことでした。
国連時代に受講した「トラウマケア」に関する研修の資料にこう書いてあります。
「安全を脅かすような出来事に会ったり、極度の緊張状態が続いている時、それは脳の神経系統に影響を及ぼします。それは竜巻のようなエネルギーが身体の中に溜まっている状態で、そのエネルギーが解放されるか統合されないと、いわゆる『トラウマ』の状態を引き起こします。
そうした環境に長い間身を置くこと、または、そうした影響を強く受けた人たちに関わることによっても同じ症状を受けます。それは『二次的外傷性ストレス』(secondary trauma)と呼ばれる。」
少しよくなってきたかと思ったら、私にとってさらに衝撃的な出来事が起こりました。約40年続いた内戦を経て和平合意が結ばれ、2011年7月にやっとのことで独立を果たした南スーダンで再び内戦が始まったのです。
停戦から独立までの6年間の間に少しづつ築き上げられた街は一変。見慣れたはずの首都ジュバの幹線道路は逃げまとう人たちで溢れかえっていました。
そして、元同僚からは、「これまで見た中で一番ひどい状況」が伝えられ、南スーダン人の友人からは姪っ子を亡くしたという連絡が届きました。私の中の「世界」がガラガラと音をたてて崩れていくのが分かりました。
プツンと糸が切れるように「心の堰」が決壊したのでしょうか。私の中から激怒が溢れ出てきて、しばらくすると、「もう何も信じられない」という無力感と絶望感に襲われました。すっかり「意味」を失った私は、何の気力も意欲も感じられず、暗くて長いトンネルの中に入り込んでしまったような気がしました。
しばらくして、海外のカウンセリングを紹介され、それがきっかけで、心理学やカウンセリング、ヒーリングについて興味を持ち、学ぶようになりました。
その過程の中で、わたし自身高い共感能力を持つこと、同時に周りの環境に影響を受けやすいエネルギー的に非常に繊細・敏感な構造を持つ面があること等を知りました。
当時に、それらは強みやギフトでもあり、その同じ特質が、国連で働いていた時に、洞察力や直観力として発揮されてきたこと、紛争地の現場で試行錯誤しながら学び発揮されていったリーダーシップのスタイルや自分の強みが改めてわかりました。
また、燃え尽き症候群といった現象は、紛争地でなくとも、医療従事者やソーシャルワーカーといった対人援助職でも多く見られることで、自分が責任を持つ範囲を明確にする健全な「境界線」(boundary)を持つことが大切だと知りました。
癒しは段階的に進んでいきました。そして、わたしは心の中の葛藤を外に出す必要がありました。「人間はどうしてこんなに残酷なことができるんだ。」
そんな思いがどうしても拭いきれなかった時に、触れたものにこうありました。
「自分の力では変えられないものを受け入れることから回復が始まる。」
それから、アメリカをはじめ世界各地で実践されている「セレブレートリカバリー」と呼ばれる回復のアプローチを一つ一つ実践していきました。その中で、過去をありのままにとらえるというものがありましたが、ある時に自分の中での過去への見方が変わったと感じる瞬間がありました。
これまで、たくさんの学びや解放、ヒーリングを受ける恵みに授かりました。重かった身体が嘘のように元気になっているだけでなく、新しい身体と心を与えられ、前よりもさらに良くなっているという感覚を今はっきりと受け取っています。
「時が解決する」という一般的な考え方がありますが、時間が経てば解決されるとは限らないと言われています。実際、時間が経っても「心の重荷」がのしかかったままのケースも沢山ある中で、本当にここまで回復し、再生されたことに心から感謝です。
その中でも一番の感謝は、その大変だった時期について、昔とはまったく異なる理解が与えられたことです。
「ファイナルクエスト」(リック・ジョイナー、生ける水の川出版、2000年)という本の中にこうあります。
「負を負うこと大変名誉なことなのです。私たちも打たれて傷を負うことによっていやしの権威を授かるからです。… わたしたちが傷ついた場所で、ひとたびいやしを受ける時、私たちは他の人をいやす力を授かります。いやしの働きを通して他の人々への憐れみが満ちあふれるためです。… すべての傷、すべての災いが、善を行うための権威になります。」
回復・再生した際には、その自分が通った体験を通じて、今度は人を助けることができる、ということです。
私の例は少し極端かも知れませんが、人生では予期せぬことが起こります。
ただ、そうした体験は、自分の人生の方向性を見直す機会だったり、自分が生まれた目的やギフトに招かれていく機会とも言えます。
自らの回復の経験から、同じような体験を持つ方々のサポートをしたいと思い、これまで、医師、医療従事者、臨床心理士、JICA職員、元国連職員といった対人援助職の方などの燃え尽き症候群からの回復をサポートしてきました。
次のような方はぜひご相談ください。
⭕️ 対人援助職で身体的な疲れ以上のものを感じている方、燃え尽きた方
⭕️ 対人援助職は自分の適職、天職だと感じているが同じやり方では続けられない、別の方法を身につけたいと感じている方
⭕️ 転職をするかどうか迷っている方へ
⭕️人生の転機にあると感じている人
⭕️より効果的に人に関わり援助できるようになりたい方へ
どうぞお気軽にご連絡ください。
お申込み・お問い合わせは info@peaceblossom.netまでお願いいたします。
《カウンセラー・セラピスト関連資格》
ー米国バージニア州イースタンメノナイト大学 The Center for Justice and Peace-buildng, STAR (Strategies for Trauma Awareness and Resilience)トラウマケアトレーニング修了
ーVison Dynamics Institute, Relationship Therapist Course 修了
ー 在米CAPACITAR INTERNATIONAL Module1、Module2、Module 3、Module 4修了
ー 在米CAPACITAR INTERNATIONAL Advance Course修了
ー21Century Christ Church プロフェティッククラス終了
ー21Century Christ Church サーバントクラス終了