この数日とくに暑い日々が続きますが、みなさんお元気でしょうか?
2020年の夏。。。
この5月にイタリアの芥川賞とも言われる「ストレーガ賞」を受賞したこともあるイタリア人作家のパオロ・ジョルダーノさんによって「コロナの時代の僕ら」という本が出版されました。
世界でも最多の死者数を出した国の一つであるイタリアで、コロナ禍の最中にいながら感じたことが綴られています。
その中でも印象に残ったのがこの一言。
「今思っていること、感じていることも日常が戻ればすぐに忘れてしまうだろう。」
きっと、この著者が言う通り、忙しい現代人の多くは、コロナが終われば、あれは何だったのか?と考える暇もなく、あっという間に忘れてしまうことでしょう。
でも、そうさせないかのように、このウイルスは、私たちの生活やライフスタイル、価値観を確実にじわじわと変えているのです。
だとすると、「どこにも行けない夏」と嘆くことも簡単ですが、それだけで終わってしまうのはやはり何かとても「もったいない」気がします。
そして、これまでとは違う夏であるというのもその通りですが、その「意味」というのも自分で見つけていくもののような気がします。
そんな特別な夏だからこそ、このような時代を生きるためのヒントとなって、かつ、この時期を有意義に過ごすための、お勧めの映画、本と博物館を紹介させていただきたいと思いました。
① 映画『ドリーム』(原題:Hidden Figures)
まだパソコンがなかった時代に、NASAが米国人宇宙飛行士を宇宙へ送り込むためにはある計算式が必要でしたが、当時は、人が紙に書いた計算式を使っていました。
その計算は、宇宙飛行士が宇宙圏へ突入する角度を決めるもので、0.01ミリ単位の違いでも人命を失うことにもなる程に重要な計算でしたが、その計算式は非常に難解で、全米から優秀な人材が集められていたNASAでさえ、誰も最後の解を導きだせず頭を悩ませていました。
皆が頭を抱える中でその数式を唯一解くことができたのは、ある一人の黒人女性でした。黒人女性であったがゆえに、最近までその事実さえ知られることがありませんでしたが、2016年に彼女の業績が映画化され、その事実が注目されることになりました。
映画としても爽やかな励まされる内容です。Black Lives Matterを理解するためにも、歴史的背景を理解するのに役立ちます。
https://www.afpbb.com/articles/-/3290258
② 本「自分の軸で生きる練習」
著者の国連やオックスフォードでの体験等を踏まえ、日々の仕事の中で何を意識し、何を大切にしながら、どのように自分の使命や方向性、ギフトを発見していくのかというヒントをいろいろな国での体験談やエピソードを交え紹介しています。多国籍チームでの体験を踏まえた異文化理解や異文化コミュニケーションのための具体的なヒントが多々あるので、国際的なグローバルな環境で働きたい人にもお勧めです。
しかし、この本の価値は今のようなウイルス騒ぎで不安や新しいチャレンジや変化が生まれている今のような時にこそあると思います。
「本書では他人や世間に流されず思考するヒントが綴られる。印象的なのは南スーダンでの経験とコロナ自粛の日々を重ねたエピソードだ。『危機の時こそ、その人の強みや本質』『本当に表現したいことが現れる』『一見小さいことに見えても小さい事は役に立つ』『小さいことに励まされる人がたくさんいると言うことを忘れないで』迷いながら生きる人の背中を力強く押してくれる。」
朝日新聞朝刊 (2020年6月20日)より
「私たちが知らず知らずにつかんでしまう、完璧主義の罠、恐れや迷いに、大胆に愛のパンチを与えてくれる一冊(!) 速攻性のある気付きだけでなく、後からボディーブローのようにジワジワ気付きを与え続けてくれる深みを持つ。重荷をかるくして現在だけでなく、過去、未来を明るく照らして背中をおしてくれる。何度も読みたくなる永久保存版」(読者感想より)✨
新聞社書評サイト ビジネス書セレクト「好日好書」
「自分の軸を持ち、自分の意思で決断することは、幸せに生きる第一歩なのだ」
💡「自分の軸で生きる練習 ~ オックスフォード・国連で学んだ答えのない時代の思考法」(大和書房)💡
③ Sempo Museum
日本では長年無名でしたが、海外で有名な日本人がいます。その内の一人は、ホロコーストの際にユダヤ人を全滅から救ったSempo=杉原千畝(スギハラチウネ)です。
彼が発行したビザのおかげで自身の命が救われたというユダヤ人は6千人にもわたると言われています。その6千人から今では3代目になり、その6千人の3代目の(孫たち)が25万人にも及ぶそうです。
日本ではあまり知られていませんが、アメリカから、世界中からわざわざ日本へやってきて、東京駅近くの杉原千畝の記念館に足を運ぶ人たちがいます。自分の命を救ってくれた杉原千畝という人のこと(または、そのような時の心構え)を家族や孫に知らせておこうと、自分の娘や息子、孫を連れて、この東京駅近くの小さなSempo Museumにやってきて、当時の写真を指を差して熱心に教えているのです。
けっして大きなスペースではありませんが、もしそんな彼ら(ユダヤ人)の姿に触れることができたら、この歴史上の出来事がけっして教科書の一文として終わることはないでしょう。
第二次世界大戦の最中、ユダヤ人虐殺が始まった時に、一人の外交官であった杉原千畝はどのような気持ちで、どのような葛藤を抱えながら、ユダヤ人にビザを発行するという決断にいたったのか?
ーそんな心境を伺い知ることのできる当時の貴重な直筆の日記などがおかれてあります。その日記などを丁寧に辿っていくと、歴史上の出来事が一人の人間の人生を通じてより身近に感じることでしょう。
そして、日本との接点も発見するでしょう。何千人ものユダヤ人が福井県敦賀港に命からがら到着した後、彼らがさらにそこから米国や世界各地へ再び船で出航できるように支援したたくさんの日本人がいたこと(ホーリネス教会など)も知られています。
そのようにして米国に渡った人の中には、のちに起業家として大きな成功を収めた人たちも多くいますが、今でもその時の感謝の想いを胸に日本を訪れる人がいて、世界のどこにいても、その時に助けられたことを決して忘れず覚えているそうです。
8/1より特別展が開かれています。Sempo Museumお勧めです!