イースタンメノナイト大学  (Eastern Mennonite University )によるトラウマのサイクル理論 ①

「暴力の連鎖のモデル」の概要:トラウマの理解と暴力の連鎖

 

どうしたら「憎しみの連鎖」を断ち切ることができるのか?どうしたらその人の中で紛争が終わったと言えるのか?ゆるしや和解を促すものは何か?ー私がそのような問いに向き合うことになったのは、独立前の南スーダン(スーダン共和国の「南スーダンと呼ばれる地域」)で国連職員として元兵士の社会統合支援に従事していた時でした。

 

当時、私が関わっていた元兵士の人たちの社会統合を支援するDDR支援(武装解除、動員解除、社会復帰プログラム=Disarmament, Demobilization and Reintegration: DDR)では、除隊兵士の人たちに、生計を立てるための新しいスキルや手段を身につけるサポートとして、職業訓練、農業支援、小規模事業支援(SME)と教育支援を行っていた。約40年続いた南北スーダン間の内戦を停戦させた「南北スーダン包括和平合意(Comprehensive Peace Agreement:CPA)」が、2005年1月9日に締結されてからすでに2年が経っていたものの、長年の内戦の影響で、道路や建物といったインフラも物資も驚くくらい限られ、職業訓練を提供すること、施設を建てることは、文字通りネジ一つから屋根まで隣国のウガンダかケニアから運んでくることを意味した。提供する側にとっても受ける側にとっても、多大な労力が求められたが、チャレンジを一つ一つ乗り越え、人々が少しづつでも前向きに前進していく様子に触れることができるのは光栄なことでした。

 

同時に、元兵士の人たちに接する中で明確に理解することに至ったのは、紛争後の復興においては、それがどんな分野であっても、紛争を肯定し、生み出した社会的背景、紛争の社会心理面における影響、人々にその自覚があるかないかにかかわらず「あの紛争はなんだったのか?」といった心の整理を求める感情面でのニーズを完全に切り離して、支援を行うことはできない、という理解でした。

 

これまでトラウマの課題は、難民や国内避難民や性的被害にあった女性(男性も含む)など、特殊のニーズを持った人々の課題であると狭義的な意味で捉えられてきた傾向があったののの、その課題やその影響が、より広義的に、その社会において紛争を生み出し、継続させる背景にある、という理解が広まってきています。また、トラウマは、個人と対象とする癒しや心理的なケア、また人を「治療」する課題というだけでなく、社会の根底に存在する構造的な課題や、また、それを正当化させ、継続させる社会文化的パターン、または質的な関係性にわたしたちの意識を向けさせてくれるものである、とも言われています。

 

そのような課題意識を元に、ここでは、世界の平和構築分野・平和支援の実務家や研究者に知られ、ソマリアの大統領等、現在に至るまで約60の国と地域からすでに8000人近くの人たちがトレーニングに参加しているSTAR(Strategies for Trauma Awareness and Resilience)と呼ばれるモデルを紹介したいと思います。

 

STARプログラムと「暴力の連鎖のモデル」のはじまり

 

STAR(Strategies for Trauma Awareness and Resilience)プログラムは、2001年に米国で起きた同時多発テロ事件をきっかけに生まれた。30年間にわたって中南米、アフリカ、アジア、ヨーロッパの各地で紛争の調停や助言にかかわり、当時、Eastern Mennonite UniversityのCenter for Justice and Peacebuilding Studiesの所長(創設者)であったジョン・ポール・レデラックをはじめ、この出来事を通して更なる報復と暴力が生み出されて行くことを予感した研究者の有志と3つの教会組織のトップが集い、暴力の連鎖を断ち切るためのトラウマに対する理解と方法論の確立、実践的なトレーニングの必要性を強く感じ、トレーニングが開始されました。

 

このSTAR(Strategies for Trauma Awareness and Resilience)プログラムの特徴の一つは、「暴力の連鎖を断ち切るモデル」(Breaking the Cycle of Violence)と呼ばれる、どのようにトラウマが暴力や憎しみの負の連鎖をつくっているかを示す「暴力の連鎖(cycle of violece)」と、暴力の連鎖を超え、平和へ向かっていく地域、社会・国の特徴とその過程についての見取り図を示すメカニズムと示している点です。

 

このモデルの特徴として挙げられるのは、まず第一に、紛争の影響をもつ社会におけるトラウマの影響を個人、または社会全体への影響、世代を超えた影響という観点について、脳科学、心理学、修復的司法(restrative justice)、人間の安全保障、紛争変容(conflict transformation)といった包括的な視点から解説されていること、また、第二に、トラウマについては、従来、心理的側面に焦点が当てられる傾向がありましたが、トラウマは身体的、生理的、脳の神経系統への影響を及ぼす脳科学的な現象であるという理解がされている点です。

 

第三に、このモデルの特徴として特記したいのが、暴力がさらなる暴力を生み出す負の連鎖のメカニズムが提示されている点です。トラウマ体験は私たちの内に負のエネルギーを生み出し、そのエネルギーが発散されずに温存されると、更なる暴力を生み出して行きます。これは、Acting In、Ating Outと呼ばれ、癒されず身体と心に残ったトラウマが内に向かう(Acting-in)場合と、外に向けられる(Acting-Out)場合があります。

 

内に向かう(Acting-in)場合には、アルコールや中毒、過食症・拒食症、自傷行為、受動攻撃、落ち込み、うつといった形として現れ、外に向けられる(Acting-Out)、怒り、不寛容、口論、攻撃性、犯罪、DVといった身体的暴力となって周囲の人に影響を与えます。

 

以下の図は暴力の連鎖の仕組みを体系化した図ですが、個人レベルにおけるトラウマの体験だけでなく、こうしたトラウマのサイクルが社会レベルにおいても繰り返されていることを教えてくれています。

 

 

次に、被害者サイクルと加害者サイクルの各項目を紹介していきます。

 

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元国連職員でカウンセラー・セラピスト

国連勤務を経て、海外でトレーニングを受けた信頼と実績を持つコーチが、安心と効果を直に実感できるメソッドを提供します。

 

国連ニューヨーク本部、南スーダン、東ティモール等で現地国政府の人材育成や元兵士の社会復帰支援に約10年従事に従事。紛争国での体験から、リーダーシップや仲裁について研鑽を積む。米軍の専門家として、世界的な研修プログラムにおいて唯一の日本人女性として講師を務める。

 

帰国後、PTSD(二次性外傷性ストレス)と燃え尽き症候群になり、起きれなくなる。リックウォーレン師などが進めるCelebrate Recoveryという再生プログラムを通じて癒しと回復、再生を体験。同じ様な体験をしている人たちをサポートしたいという思いからコーチングとヒーリングを始める。

 

医師、医療従事者、国連職員、ビジネスパーソン(製薬、銀行、製造業など)、政府機関職員、地方公務員、NGO職員、通訳、カウンセラー、ソーシャルワーカー、クリエーター、大学生、中学生など多くの人から支持される。

 

《主な資格》

在米国バージニア州 Eastern Mennonite University (EMU) The Center for Justice and Peace-buildng,  Strategies for Trauma Awareness and Resilience: STARトレーニング修了。

燃え尽き症候群や他人にノーと言えない人は自分の領域をチェックしよう

ストレスへの対処の仕方はいろいろあるけれども、より根源的な見方の一つに、「境界線(boundary)」または「領域」という視点があります。

 

領域とは何かと言うと、簡単に言うと、自分がコントロールできる範囲のことです。

 

境界線について自分も体系的に学びたいし、上手く説明できたらいいな、と思っていたら、バイロン・ケイティー(彼女の著作「タオの教え」は読むだけで心が落ち着きます)の「ザ・ワーク」という本の中にとても分かりやすく説明されている一節をみつけました。

 

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(以下彼女の本を元に少しアレンジ)

 

世界にはたった三種類の領域しかありません。

 

私の領域、他人の領域、そして神の領域です。

 

 

私の領域とは何かと言うと、簡単に言うと、自分がコントロールできる範囲のことです。

 

私たちがコントロールできないもの、それが神の領域です。

 

ストレスの多くは、自分の領域から離れた時に起こります。

 

(あなたは)時間通りに来るべきだ

(あの人は)仕事に就くべきだ

(彼は)もっと愛情表現をするべきた

(母は)もっと私を理解するべきだ

(洪水は)起こるべきではない

(戦争は)起こるべきではない

などなど。

 

そう考えている時、私たちは「他人の領域」に入り込んでいます。

 

 

もし、地震や洪水、戦争や死などについてすごい心配したり怒っていれば、神の領域に入っていることになります。

 

イライラしたり、傷ついたと感じたり、無力感を感じる時には、私たちはたいてい他人の領域に踏み込んでいる、とバイロン・ケイティーは言います。

 

これは特に「燃え尽き症候群」の人に当てはまります。

 

なぜなら、たいてい私たちは、他人の領域、または神の領域をなんとかしようと常に忙しく、自分の領域がほっぽらかしになっているからです。

 

または、自分の領域に他人が侵入していて、自分の領域がのっとられている状態かも知れません。

 

例えば、他人に「ノー」と言えなかったり、自分の価値観ではなく他人の価値観を優先させている場合です。

 

これらは、疲労困憊の原因になります。

 

または、エネルギー的にとても敏感というか繊細なつくりを持っている方で、他の人の不安が心配などのエネルギーが自分の領域に入り込んでいて、それによって本人の自覚はなくても大きな影響を受けている人もいます。

 

私のところにセッションに来られる方も含め、この境界線があいまいになっているケースは少なくないようです。

 

境界線は、何が「自分」であり、何が「自分でないのか」を明確にします。

 

 

自分が何をやりたいのか分からない、ということをよく聞くことがありますが、もしかしたら自分の領域が「自分でないもの」でいっぱいになっていませんか?

 

そういう人は、ぜひ「ノー」と言うことを学んでください。

 

 

スティーブ・ジョブズは、彼はIphoneの完成にたどり着くために少なくとも1000回は「ノー」と言ったそうです。

 

彼はNoを通じて、Yesにたどり着いたのですね。

 

そうでなかったらあんなスタイリッッシュなIphoneもIpodも生まれなかったのかも知れません。

 

逆説的に聞こえるかも知れませんが、「自分でないもの」がそぎ落とされることで、「自分」が残るのです。

 

自分の領域とは自分のための時間、身体、心、感情、思考、内なる声、魂などです。

 

今の「自分の領域」はどんな状態で、何パーセント位が「自分のもの」なのか、ぜひ意識を向けてみてください。

 

 

もし、自分のものではないもの(感情、思考、信念なども)があったら、外に出て行ってもらいましょう。

 

 

自分の領域の状態を整えることは自分の心の状態や才能の基盤になる部分です

そして、自分の領域が強固になっていくにしたがって、直感や才能は開き始め、自分が望んでいること、やりたいことも自然に明確になっていくでしょう。

 

 

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⭕️それはあなたの不安ですか?

 

 

もしかしたら、それはあなたの不安でも焦りでもないかも知れません。

 

このセッションでは、あなたの領域からあなたでないものに出て行ってもらうお手伝いをします。

 

自分の領域の状態を整えることは自分の心の状態や才能の基盤を整えることです。
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