ビジョンなんてないよ、または、自分の理想を思い描けない場合の三つの原因

昨日、なぜか環境や仕事が変わっても同じようなことを経験する場合、自分の人生の方向性(ビジョン)を持つことが大切だ、と言いました。

 

ビジョンとは必ずしも大きいものである必要はなく、成長している実感が感じられる仕事、世界とのつながりを感じられる仕事、意義を感じられる仕事といったものかも知れません。

 

もちろん、大きな夢を持っている人は堂々とその夢につき進んでいってほしいと思います。

 

関連記事⇨なぜ職業に自分を合わせる時代は終わりなのか?ー人生100年時代輝く大人でいるための一つの質問

 

もし、ビジョンなんてないよ、または、自分の理想を思い描けないときと感じるとしたら、原因は主に三つ考えられます。

 

1、「がまんすること」が当たり前になっていて無意識に思い描くことを抑えている

 

「がまんすること」があまりに当たり前になっているので、自分がしたいこと、自分が望んでいることや楽しいと思っていることを抑えすぎて、わからなくなっている可能性が考えられます。

 

職場に自由なコミュニケーションがなかったり、ミスがゆるされないような雰囲気だったり、長女でがんばるタイプの人はとくにこの傾向が多いようです。

 

ある大手企業に勤務されている優秀な方で、自分だけのノートに「私は~したい」をどんなことでもいいので50個書き出してください、と言ったら、「10個ぐらいしかあげられなくて、自分をこんなにも抑えていることに気づいて愕然としました」、と伝えてくださった方がいました。

 

「自分はこういう仕事がしたい」、「自分はこういうライフスタイルがいい」も、日常の中にある「自分は~したい」、嬉しい、気持ちいい、心地いい、楽しいといった感覚の延長にあるものです。

 

⭐️アドバイス⭐️

 

もし、自分で自分を止めている部分があるなあと思ったら、「自分の望むライフスタイル」や「自分の望む働き方」といった大きいものを考える前に、もっと簡単で日常の中にある「私は~したい」を満たしてあげましょう。

 

⭐️ミニワーク⭐️

「私は~したい」を願望レベルから欲望レベルまでなんでもいいからともかく50書き出す。ともかく言語化することは意識を活性化するので、ともかく手をとめずに自分に自由に発想させてあげてください。

 

例)美味しいパンケーキを食べたい

例)コンサートに行きたい。

(例) 海に行きたい、などなど

出来るものからどんどん願いを満たしてあげましょう。

 

2、あきらめてる、自分が「失敗」したと思っている

 

人生はいつでも自分の望むような結果になるわけでもありません。一見順調のように見える人でさえ、誰でもなんらかの悩みを持っています。仮に自分では「失敗」だと思っていたとしても、もっと広い視点からみたら、それは「失敗」ではないかもしれません。

 

なにか自分の中で失敗だと思っていること、後悔していること、挫折体験、自分の思うようにいかなかったことなどがありますか?もしその出来事が自分の中で整理、完了されてなく、その事を思い出したくない、その事を聞くだけでザワザワする、または、まったく考えられない、という場合、また同じことを繰り返してしまうのではないか、という怖れから無意識に新しいことをすることを止めている可能性があります。それで、なにかを決めたり、何かをするのがとても億劫になってしまったり、諦めてしまっています。

 

国連の採用面接やハーバード大学やMBAプログラムの面接では、「失敗体験」について聞かれます。それは、誰も完璧な人なんていないし、物事はいつも順調に進むわけではないのだから、失敗をしないことよりも、その失敗からなにを学んだのかの方が大切だ、とされるからです。もし、「失敗」や「挫折」をしたと思っていることがあったら整理して、心の重荷をほどいて楽にさせてあげましょう。

 

自分でも驚くような素晴らしい仕事を見つけられた方がいますが、やはりその過程ではそれまでの自分の中の重荷や失敗だと思っていることを整理する過程がありました。

 

⭐️アドバイス⭐️

その「失敗体験」から学んだことは何ですか?「失敗」を失敗だけに終わらせず学びを刈り取る「リフレクション」(振り返り)の視点を学びましょう。

 

⭐️ミニワーク⭐️

次の3つの視点で自分の体験を振り返りましょう。

(C)hallenge=こんなチャレンジがありました。

(A)ction=私はその状況をこう理解し、このように対処・行動をしました。

(R)esults=結果、このようになりました、それによってこのようなことを学びました。

これは、CARの法則と呼ばれています。

そのチャレンジから学んだことがきちんと導き出されていることが大切です。

 

3、自分の中の優先順位や価値基準・軸があいまいなので「決断」することを避けている

 

人はなにかを決めるときに大抵なんらかのパターンを持っています。進学、就職・転職など、これまでどんな基準で決めてきたでしょうか?自分で納得して決められた人は、決めることで自信もつき、踏ん張れますが、他人まかせの選択ばかりでは一回、二回はなんとかなっても、人生の大切な場面場面で自分で決めることができません。

 

また、20代のときには仕事も人生も勢いにのって決められたけれども、30代になってからは自分の中の優先順位も変わってくるので、改めて自分の中の価値観や優先順位を軸に自分の決断のパターンについて見直すことが必要になってきます。

 

⭐️アドバイス⭐️

自分の決断の基準やパターンを振り返りましょう。

 

⭐️ミニワーク⭐️

これまで何を基準に自分の選択を決めてきたか書き出す(進学、就職・転職など人生の重要なポイント、誰かに反対された時など)

うまくいっていた決断はどうやって決めましたか?

うまくいかなかった決断はどうやって決めましたか?

自分の優先順位で見直す点はありますか?

なにを基準に決めるといいと思いますか?

 

自分でなっとくして決めたい人へ!

自分の人生を生きるためのライフ・キャリアコーチング

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環境や仕事は変わったのになぜか同じようなことを繰り返し体験するときー⭕️⭕️の連続こそが、人生をその先に進ませることを避けていることがある

もし本気で人生をよくしたいと思うならば、わたしたちは「原因」と「結果」についてより高い視点から理解することが必要です。

 

宇宙の視点からみると、人生の目標とは、私たちが人格的に成長することなので、人生ではいろいろな出来事や課題を体験します。

 

宇宙の視点からみると、私たちが愛する子供たちにできることならなんでも与えてあげたいと思うように、それは愛する我が子に体験を積ませるための機会とも言えます。

 

そして、一つづつ課題をクリアすると自分の経験値と総合的な実力があがっていることに気づき、それに合わせて仕事の機会も広がり、影響力もあがっていきます。

 

なので、その時々に現れる自分の課題に向き合うことはとても大切です。

 

同時に、環境や仕事は変わったのになぜか同じようなことを繰り返し体験する、ということがあります。

 

その時には、一度落ち着いて、自分の「内面」に、なにかそうした体験を生み出す考え方やパターンがあると疑った方がいいでしょう。

 

または、なぜか、いつも問題解決ばかりに追われているような気がする、ということがあります。

 

その場合には、その先に進むのが「こわい」ために問題をつくり出し続けている可能性があります。

 

人は潜在意識レベルで「問題をつくる」ことがあるのです。

 

そんなバカな?!と思うかも知れません。。。

 

でも、ほんとうなのです😅

 

人間って時どきそういうことをすることがあります(潜在意識レベルでの話しです)

 

そんな時には、問題を解決しようとがんばるだけでなく、

 

「そもそもこの問題は必要なんだろうか?」と聞いてみてください。

 

そして、なにより重要なのは、自分はこの人生でどんなことを望んでいるのか?という自分の人生の方向性(ビジョン)を持つことです。

 

問題解決によって、懸命に努力をしているつもりなのですが、時にその問題解決の連続こそが、人生をその先に進ませることを避けていることがあるのです。

 

しかも、そのパターンに気づきにくいのは、自分は一生懸命に努力している、がんばっている、という感覚が仮に同じところをグルグルと周っていたとしても、それを見させにくくしてしまうのです。

 

そんな時には、人生に問題解決や受動的で決まりきった行動パターンだけでなく、なんらかの新しい体験や創造(creation)の体験を取るこむことが役立ちます。

 

自分のこころに正直になって、自分に問いかけるならば、何十時間も、何百時間も、または、何千万円、何億円もの損失を防ぐくらいの価値があると言ってもいい過ぎではないかもしれません。

 

どんな体験を望んでいるのか、自分の理想のライフスタイルとはどういうものなのか?と改めて問いかけてみてくださいね。

(*^-^)ニコ

 

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国連の現場で学んだ無理なく自然に会話が盛り上がっていく英語の質問術

部長や局長ともっと気軽に話せるようになりたい

会話があまり続かない同僚がいる

もっと楽しく会話ができたらいいな。。。

そんな場面は誰にもありますよね。

 

しかも英語となると、さらにハードルが高くなると感じる人も多いかも知れません。

ここでお伝えしたいのは、無理なく自然に会話が盛り上がっていく英語の質問術です。

 

自分はコミュニケーションが苦手だと思っている人は実はけっこう多いようで、そうした方のコーチングをしたこともありますが、実際にお話しを聞いてみると、多くの方はコミュニケーションが下手なワケではなく、むしろ本当は上手な方で、さらに言えばどなたも聞き上手なタイプでした。

 

私が聞き役に回っていろんな質問をすると自由にお話しされますし、返答もしっかりしています。一瞬考える間をとったり、ゆっくり話される方はいらっしゃいますが、それは苦手というものではなく、それぞれの方のスタイルです。

 

それなのに、なんで「自分はコミュニケーションが苦手だ」と思うのだろうと考えてみて思うのは、自自分のコミュニケーションスタイルやタイプを知らずに、「盛り上がる会話」や「会話はスマートじゃなければいけない」といったイメージに無理をしてあわせようとしているんじゃないか?ということです。

 

ただ、会話の目的が、お互いに協力して仕事をスムーズに進めること、相手との距離を縮じめること、自分のことをもっと知ってもらうことであるならば、自分にあったスタイルが必ずあるはずですし、自分が話すことよりも相手に話してもらう方が効果的です。

 

なぜ、相手に話してもらう方が効果的なのかと言えば、人は誰の中にも自分のことに耳を傾けてほしいと思っている部分があって、人は自分に関心をむけてくれる人のことを好きになるからです。

 

すごく単純に聞こえるかも知れませんが、人の「聞いてもらいたい」というニーズはとても大きくてとてもパワフルになりうる、という私の体験をお話ししたいと思います。

 

国連PKOで働くことのユニークな点の一つは、軍人の人たちと接することが多いことですが、私の中には、内戦をしてきた国の軍人たちが、なぜ私に悩みを打ち明けてくるのか、という「謎」がありました。

 

だって、相手は内戦や紛争を体験してきた国の軍人の人たちです。

 

国連のPKOに関するトレーニング・演習の講師を務めていた時には、彼らがこころの中の葛藤を話し始めることさえありました。

 

「国に戻ったらこんなこと言えないけど、僕はずっと『反政府勢力』(毛派)と、もっと対話をするべきだって思ってたんだ」(ネパール軍の士官)

 

「僕は2回目のイラク派遣で『敵』も人間だって気づいたんだ。 だから、ほんとうは倒したら終わりなわけじゃないんだ。」(米軍の同僚)

 

「長年軍隊にいて葛藤があったけど、『人間』らしくあることを自分に求めていいんだって思いました。実は、僕軍隊をやめようと思っているんです」というコメントに耳を傾けていた時には、聞きながら思わず内心驚いてしまうこともありました。

 

最初は、こういう会話になることに私自身が驚いたものでした。

 

でも今思えば「聞き上手さ」ということが自然に発揮されていたんだ思います。

 

私自身が、ペラペラと話さないといけない、とも、自己主張をしなければいけないとも思っていなかったので、相手がリラックスできたのも大きかったかも知れません。

 

NASAやマイクロソフトのコンサルタントを務めるアネット・シモンズは、「プロフェッショナルは『ストーリー』で伝える」(海と月社)の中で、「聴く力」の効果をこのように説明しています。

 

○ 話しを聞いてもらえる「安心感」

○ なんでも自由に話してもいいと思え、相手に受け止めてもらえる体験

○ 話すことで、自分が何を理解できて、何が理解できていないのか、がはっきりしていく

○ 話す中で、自分の中の「理屈では説明できない部分」に気づき、その部分が受け止められることも含め、自分の思考や行動が整理されていく

○ 話すことで自分自身が自分のストーリーを聞くことになるので、自分の言っていることを再検討するスペースを与えられる

○ 頭が整理・統合された結果、知恵や創造性が引き出される

 

人は大きく分けると話す方が好きだというタイプ(外向型)と聞き役(内向型)が多いという人がいます。カルフォルニア大学で行われた実験では、両方がお互いを高く評価した、という実験結果があります。

 

内向型の人は、外向型の人が話題を次から次に提供してくれたので話しやすかった、と言い、外向型は内向型の人との会話に対して、リラックスできて話しやすいと感じた、のです。

 

誰の中にも内向型の部分も外向型の部分もあります。

 

ここで言いたいのは、「聴いてもらうこと」の効果はとても大きいということです。

 

そして、聴くことのレベルもあげていくことができます。

 

それも続けて説明していきます。

 

そして、聴く力を確認した上で、さらに会話を促す一言や質問ができるとなお強力ですね。

 

では、会話を促す質問としてはどういうものがあって、英語ではどう表現すればいいでしょうか?

 

次は会話を促す質問や一言を一緒に見ていきましょう。

小池都知事や日馬富士を暴走させた「シャドー」とは何か?

小池都知事や日馬富士を暴走させた「シャドー」とは何か?

 

人間なら誰しもが持つネガティブな感情やコンプレックスは、心理学では「シャドー」と呼ばれる。だが近年、そうした負の感情を否定し、ポジティブさだけが極端に評価される風潮が蔓延した結果、社会にはさまざまな歪みが生まれている。

 

突発的な怒りが原因の暴力事件や、政治家の暴言は後を絶たない。また、自分の負の感情を無視し続けると、人間は本来持っていた素晴らしい才能まで失い、無気力感に苛まれるようになるという。

では、我々はシャドーにどう立ち向かえばいいのだろうか?

 

なぜ「爆発する人」が増えているのか?

 

小池都知事の排除発言や、横綱日馬富士の暴行事件、市街地を50分間も車で暴走した愛媛県の会社員の事件など、最近「爆発してしまった人」のニュースが相次いでいます。

 

世界情勢も不安定な昨今、人間も社会もそれに影響されておかしくなっていると考える人もいるかもしれません。

 

確かにそういう面もあるかもしれませんが、私は人間や社会が突然変化したわけではなく、もともと持っていた「シャドー」や社会の闇が表面化しているのだと考えています。

 

シャドーは、心理学者カール・ユングが作り出した概念で、人間のネガティブな感情や、嫌なところ、隠したいと思っている部分を指します。個人レベルのシャドーもありますし、集合社会的なシャドーも存在します。

 

そして現代は、これまで隠蔽してきたシャドーが明らかにされる「透明化」(transparency)の流れが急速に進んでいます。

 

たとえば、パナマ文書やパラダイスペーパーによって、政治家や富裕層の課税逃れの実態が暴かれました。米国では、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ行為が暴露されたことによって#MeTooムーブメントが起こり、日本でも東芝の不正会計や、神戸鉄鋼、三菱マテリアルのデータ改ざんといった企業の不祥事が次々に発覚しています。

 

また、トランプ大統領の差別的な発言が、世界中で人種差別や国家の分裂を助長しています。彼の発言が、人々の意識に内在していた意識を浮きぼりにさせたのです。

 

孫子の兵法に、「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という言葉があります。

 

「己」をシャドーに置き換えてみると、それは「私たちが理解していない、扱い方を知らない自分自身の衝動」ということになります。それを否認したり抑制したりしている限り、私たちは本当の敵(シャドー)に負け続けることになります。

 

実際、政治家や俳優など表舞台で活躍していた人が突然、本音や暴言を吐いて失脚する例は枚挙にいとまがありません。

 

小池都知事が自信満々な顔で「排除します」と言ってしまったのも、彼女の権力欲の「シャドー」が露呈してしまった結果でしょう。

 

関連記事:

Vol.17 なぜ「罰」だけでは暴力を止められないのか?「南スーダン内戦はかくして泥沼化した」|大仲千華 「答えを求めない勇気」

 

「ポジティブ」の大きな弊害

 

「シャドー」は、ふとした瞬間に見せるその人の隠された部分です。

職場では真面目だと思われていた経理担当者が横領したり、教師や警察官といった公的な職業に就いている人がわいせつ行為で捕まったりするニュースも後を絶ちません。身近な例で言えば、車の運転中に急に性格が変わる人はどこにでもいます。

 

人間は誰でも「ポジティブとネガティブ」「善と悪」の両面を持っています。

 

近年、心理学の分野では、ポジティブさの良い点ばかりを強調することの弊害が指摘されています。これを「ポジティビティー・バイアス」と言い、以下のような傾向が見られます。

 

●ネガティブなことに対する免疫力が低い。

●予想外の出来事への対処能力が低い。

●ネガティブはいけないことだと思い込んでいる。

●ネガティブな側面や感情を否定すると、ポジティブの感度も麻痺する。

●ネガティブな感情・側面が資源や才能になることを見逃している。

●ネガティブの存在価値を無視している。

●ポジティブとネガティブの両面あってこそ全体をなすという理解がない。

 

シャドーを抑制するだけでは意味がない

 

ただそうは言っても、私たちは「怒ってはいけない」「感情的になってはいけない」「いじめはいけない」と教えられるばかりで、自分のネガティブな面やシャドーに対する理解もなければ、適切な対処方法も習ったことがありません。

 

日本では、有名人の不倫や暴行事件のニュースが流れると、非難の論調でメディアが大きく騒ぎたてます。「ほらみろ、我慢してシャドーを抑えないとああなるぞ」という声が聞こえてくるようです。

 

けれども、闇の部分を一時的に抑えつけるだけでは、かえって問題の解決が難しくなります。なにより、人間なら誰もが持つものを否定し続けていては、社会はますます不寛容に、そして生きづらくなります。

 

「シャドー」に対しては、これまで次の3つの対処方法が用いられてきました。

 

まず、ひとつめは「批判」です。

 

人は、自分のネガティブな面に触れると非常に嫌な気持ちになるので、誰かを責めたり、批判したりしたくなります。

 

まるでお役所のポスターのように、「いじめをやめよう」「パワハラはいけない」「暴行は許せない」と言うのは簡単ですが、「いけない」というだけでそれがなくならないことは、誰もがわかっています。

 

誰かを批判すると一瞬は気分がよくなるのですが、実際にはかえってシャドーへの嫌悪感を「強化」してしまうのです。

 

2つ目は「避ける」です。

ある人を見ると理屈なくイライラしてとにかく嫌だということは、誰にでもあると思います。それは、身近な人かもしれないし、職場の人かもしれないし、もしかしたら芸能人やドラマの登場人物かも知れません。

 

そういう感情を抱くと、人間はその相手を避けようとするものですが、なぜか違う場所でも、似たような人に出会い同じような不愉快な体験をすることがあります。

 

これは決して珍しいことではなく、私がコーチングで出会う人のなかにも、このような経験を繰り返している人がいます。つまり、同じようなタイプに不快感を感じてしまうのは、自分自身に向き合う課題があることを意味しています。

 

ただ、それを避け続けるだけでは、根本的な解決にはならず、同じような状況が繰り返されてしまうのです。

 

Getty Images Shadow.jpg

 

いまの自分はシャドーの裏返し

 

3つ目は「正反対の自分を繕う」です。

 

私たちは内心、自分の否定的な考えや欲望、衝動の存在に気づいています。それと同時に、「『本当の自分』を知られたら嫌われるのではないか」という怖れも持っているので、無意識に必死で自分を抑えようとしています。

「人当たりのいい人」になる人もいれば、「冷静で頭のキレる人」になる人もいます。「がんばり屋」になる人もいれば、「優秀な完璧主義者」になる人もいます。しかしその仮面の下には、たいてい「正反対の自分」が隠れているのです。

 

たとえば、一生懸命に「いい人」を演じている人は、往々にして自分をわがままだと思っています。「冷静で頭のキレる人」は、自信がなくオドオドしている自分が嫌いです。「がんばり屋」は、自分はまだまだ努力不足だと悩んでいるし、「優秀な完璧主義者」は、完璧でないと愛されないと思い込んでいます。

 

こうした「正反対の自分」は、小さいころに叱られた経験などがきっかけで生まれます。人は否定的なメッセージを受け取ると、その部分を奥深くに隠してしまうのです。

 

シャドーを否定すると生きる気力や才能まで失う

 

自分のやりたいことがわからない、やる気がでない、冷めている、自分をもっと思いっきり表現したいのに小さく縮こまっている気がする……このような悩みの原因もたいていシャドーにあります。

 

なぜなら、人は本当の自分を無意識に抑制するとき、活力や才能、創造性なども一緒に抑えてしまっているからです。

 

その結果、仮面をかぶった自分をいつの間にか本当の自分だと信じ込み、自分の本当の気持ちも望みもわからなくなってしまうのです。すると視野も凝り固まってしまい、それ以外の見方ができなくなります。

 

世界が目まぐるしく変化する現代社会では、自分の感情やシャドーを抑えようとするだけで多大なエネルギーを消費しますから、才能を発揮するどころかエネルギー切れを起こして、行き詰まり、無気力になります。仮面をかぶった自分からは、本来の力は湧いてこないのです。

 

いまの日本に蔓延している無気力・無関心という病理にもシャドーが関与していると言えます。

 

組織や社会で「正しいこと」だけが強調され、ポジティブさだけを追い求めるように強要されると、人はかえって冷めてしまうからです。

 

表面的なポジティブの下には同程度のネガティブも存在することを認識すると、物事の全体像を理解し、自分の見方や感じ方にバランスを取り戻すことができます。

 

さらにシャドーの存在を自覚し光を当てれば、自分の一部となって、才能やひらめき、創造的なイノベーションとエネルギーをもたらしてくれます。才能には、鍛錬を積み開花するものと、「本当の自分でないもの」を削ぎ落とすことによって開いていくものがあるからです。

 

シャドーと向き合うことで、核兵器廃絶に貢献した女性

 

冷戦期に、核兵器廃絶のための国際的な対話を実現させた立役者としてノーベル平和賞に3度ノミネートされた、シーラ・エルワージーという平和活動家がいます。

 

エルワージーは、核問題を解決するためには、対立する大国や兵器製造企業の経営者、技術者など関係者すべてを集めた真の対話の場を作らなければならないと考えました。そして、その対話の成功は、シャドーに対する理解と「内的な力」がもたらしたと彼女は述べています。

 

では、対話を成功させるためにエルワージーはどんなことをしたのでしょうか? それについては、また次回の連載で書きたいと思います。

 

クーリエジャポン2017年12月9日掲載

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

12/18(月)開催! 新しい時代を切り拓くためのほんとうの力ー「難しい」と思った時にどうしたらその先に進むことができるのか?

 

何かを考えたりしようとするとすぐに「難しい」「無理」という考えが一瞬にして自分の中をよぎります。

 

でもほとんの人が何がほんとうの問題なのか、どんな選択肢があるのか、課題や会話をその先に進めるための考え方を習っていません。

 

「思考停止状態」からその先に進むための考え方や力とは何でしょうか?

 

《日時》

2017年12月18日(月)19:00-21:00

 

《場所》

武蔵小山創業支援センター5階第2・3会議室

アクセス➡️ http://www.musashikoyama-sc.jp/access/

南北線・目黒線・三田線「武蔵小山」駅徒歩3分

 

《参加費》

1,000円(税込み)

⭐️当日お支払いください。お釣りのないようにご用意をお願いいたします⭐️ 

 

《お申込み》⭕️こちら ⭕️よりお申込みください。

 

詳細はこちら➡️

 

「内なる声に従っている人が一人いる方が、そうでない人を何百万人も集めたよりも大きな力になる」

 

この勉強会は、新しい時代をつくるリーダー育成事業の一環です。

無関心や孤立、寛容性が下がる「社会的なトラウマ」 という現象ーその連鎖と国連関係者が学ぶ「どうしたら憎しみの連鎖を防げるのか」という理論

先日はトラウマとは単に「心の病」というよりは、「身体に残り外に出切れていないエネルギーである」とお伝えしました。

 

アメリカでは10人に一人がPTSDと言われるくらい、トラウマやPTSDが過剰に診断される状態があるとも指摘され、

 

すべてを「トラウマ化」する必要はない、と断っておいた上で、

 

トラウマと暴力の連鎖のメカニズムと、それを乗り越える過程を理論化したものして知られる

 

The Center for Justice and Peace-buildingの Strategies for Trauma Awareness and Resilience(STAR)より、トラウマが日常的にどういう風に現れるのかお伝えしたいと思います。

 

cycles-of-violence.jpg

⏫  The Center for Justice and Peace-building, Strategies for Trauma Awareness and Resilience: STAR)より

 

一般的にはこのような状態がみられます。

 

・判断能力が低下し、何かに対する事象を恐れとして認知しやすくなる。

・コミュニケーション能力が低下し、特に共感性が下がる

・柔軟性や寛容性が下がる

・直接何かが起こったわけでもない個人との関係において緊張や対立がおこる

・無関心や孤立

・自分の被害ばかりに目がいき、他者の視点で見ることができなくなる(歴史、係争、関係性)

 

さらに、そのエネルギーが内に向けられるか(acting-in)、または外に向けられるのか(acting-out)?に分けられます。

 

内に向けられた場合には、以下のような症状が見られます。

 

内に向けられた場合:

・依存 (インターネット、薬物、買い物、セックスなど)

・過食症・拒食症

・仕事中毒

・自傷行為

・うつ

・不安

・頭痛や身体の緊張など・慢性的な痛み

・病気(身体的症状)

・自殺

 

外に向けられた場合には、以下のような症状が見られます。

 

外に向けられた場合:

・ドメスティックバイオレンス(DV)

・虐待

・犯罪行為

・リスクを犯したがる

・攻撃的な行為

・暴力行為

・戦争

 

社会的・集合レベルでは次のようなトラウマのサインを見ることができます。

 

・無関心(国の政策や政治や社会に対する無関心)

・黙る(表現の自由の抑圧、真実が語られなくなる)

・共感や寛容性のうすれ

・二元論(ゼロか100か、こちら側かあちら側か)

・ 人との繋がりが希薄になり信用できなくなる

・環境の悪化

・性の軽視や売春の増加

・薬剤の使用量の増加

 

 

トラウマはそれに苦しんでいる当事者が自分で心の痛みを癒し、その体験を完了させなければ、さまざまな 形で次の世代や社会に引き継がれると言われています。

 

最近は、トラウマと暴力の連鎖だけでなく、それを乗り越える過程も理論化されています。

 

これは、9.11をきっかけに始まった「どうしたら憎しみの連鎖を防げるのか」という研究から生まれまし た。

 

今では、「Strategies for Trauma Awareness and Resilience: STARプログラム」として知られ、私も国連の研修の一環で参加したことがありますが、米政府や国連関係者、アフガニスタ ンやイラク従事者をはじめ、ドイツ、ケニア、レバノンなど世界60ヵ国から参加者が集まるプログラムとして知られています。

 

STARは、米国で起きた1995年のオクラホマシティ連邦政府爆破事件の被害者が「和解」へ向かっていた 過程などを理論化し、紛争を根本から解決するには、個人が心の傷やトラウマの体験を癒すことが重要だとしています。

 

STARに理論によると、寛容性の低下や排他主義といった排除型の暴力も、トラウマと暴力の連鎖の一つだと説明することもできます。

 

報復の「連鎖」を根本的に解決するためにも、こうした連鎖のメカニズムとそれを断ち切るのは何か?と理解することは役に立つと思います。

 

STARの理論では以下のステップが説明されています。

 

STAR 和解.001

 

(#1)身の安全

(#2)なげく・自分のストーリーを話す

(#3)Why me? ⇒ Why them?なぜ私?からなぜ相手?への視点

(#4)相手の「ストーリー」を理解する

(#5)ストーリーが書き換わる

(#6)ゆるし

(#7)正義(restorative justice)

(#7)和解

 

こちらについてはまた説明したいと思います。

 

個人的なトラウマやPTSD(援助従事者による二次受傷、セカンダリートラウマも含む)の回復プロセスについてはこちらで説明しています。

 

トラウマとまで言わなくても、人生では自分の思うようにならない時もあれば、理不尽なことも起こります。一人ではどうしたらいいのか分からなくなることもあるでしょう。

 

そんな波の中にいる時にどうしたいいのか?

 

少しでもそんなヒントになるように、トラウマやPTSDの回復理論やレジリエンスに関する研究と私自身の燃え尽き症候群やPTSDからの回復体験を質問形式にしてまとめました。

 

ここで挙げている質問は、リラックスして、まずは眺めてみて、思い浮かぶことをありのままに観察してみるというアプローチをオススメします。

 

質問を読んでもに何も思いつかなくても、ふとした瞬間に何か思い浮かぶ事もあるでしょう。

 

自分が前に進んだからこそ、意味を持ってくる質問もあるので、ぜひ定期的に眺めてみて下さいね。

 

ダウンロード・登録⭕️こちら⭕️よりどうぞ 

 

 

目次

あ、今の自分の状態について把握する

い.自分の「ストレス反応」を知る

う.今気になっていることについて観察する

え.喪失 (後悔、自責、サバイバーズギルト)に気づく

お.自己像、自己肯定感、自己受容度に気づく

か.自分の中の「不安」を意識化・言語化する

き.自分のコーピングスタイルを知る

く.自分と相手との優先順位(境界線)と当事者レベルを知る

け.自分のストーリー(解釈・認知)に気づく

こ.回復のストーリーをみつける

さ.試練の中の「意味」について知る

し.再結合・新しい自己の創造

す.回復・再生のためのステップ 

せ.トラウマからの回復・再生のプロセスで体験しうること

そ.トラウマからの回復の三段階

 

ダウンロードは⭕️こちら⭕️よりどうぞ 

 

 

海外へ行く人必見!ー 安全を創る非言語ランゲージの力

例えば、国連の平和維持活動でも自身の身の安全を守ることやこちらの影響力を強めることに対して数々の対策や研修が行なわれていますが、その内の考え方の一つに、Presence, Posture, Profile (3Ps)いうものがあります。

こちらが言語として相手側に伝えているのはあくまでも一部であり、非言語領域でも全ての面で相手にどんなメッセージを送っているのかを認識し、より効果的なメッセージを送ろうという考え方です。

Presence=現地住民との関係構築などを通じて積極的に組織の存在を示すこと

Posture=姿勢や態度など非言語ランゲージを通じて組織のコミットメントと確固たる意図を示すこと

Profile=地域住民との関係や日常的な態度や行動を通じてポジティブな影響を及ぼすこと

 

例えば、備品の置き方、車の駐車の仕方、現地の人とのコミュニケーションをする時のボディ-ランゲージなどです。

確かに、私が南スーダンの現場にいた時、治安の維持のために派遣されたいろいろな国の軍に接してきましたが、素人ながらそれぞれの軍の士気や強さが想像できたものです。

特に、こちら側が思っているイメージ、または、こちらが伝えたい印象と現地の人が受けとっている印象の間にギャップ?があることがあります。例えば、このような質問が役に立ちます。

 

◯ スタッフメンバーは普段どこに行くことが多いですか?普段誰と多く接していますか?ど 

う見られていますか?
◯ 組織のスタッフはどういう風に見られていますか? 

◯ 組織の活動はどういう風に見られていますか?
◯ 組織全体としてどんな「印象」を伝えていますか? 

◯ それは現地の人にどのように伝わっていますか? 

◯ 現地の人たちは何と言っていますか?
◯ 現地のリーダーや州政府は何と言っていますか? 

◯ こちらが伝えたい印象と現地の人が受けとっている印象の間にギャップがありますか? 

◯ どんな「印象」を今後より積極的に伝えていきたいですか? 

 

特に最後の質問、どんな「印象」を今後より積極的に伝えていきたいのか?ーこの点はとても大切です。

そこ本当に危険?危険を判断する3つの視点①ー④(了)

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海外へ行く人必見!安全を創る3つの視点③

ここまでは、リスクは、脅威のレベルを適切に認識し、脆弱性(vulnerability)に対して働きかけることができるという考え方を紹介しました。

ただ、こちらは脅威に対して、こちら側の脆弱性に対して対応するという受身的な対策しかできないのでしょうか?

次には、脅威のレベルを適切に認識し、それに対する脆弱性(vulnerability)を下げると同時に、どうしたら相手の動機に働きかけることができるか?

 

別の言い方をすると、③ こちらは相手にどう働きかけることができるのかという視点を見ていきたいと思います。

 

リスクは脆弱性(vulnerability)を下げ、また相手の動機に影響力を及ぼすことによって、予防の割合をより高くすることができます。それをここでは、「仲裁的予防」と呼びます。

仲裁的予防とは、相手の関心やニーズ、心配事を含め何が相手のインセンティブになるかを全体的に捉え、能動的に働きかける考え方です。 そのための視点は以下の5つの点です。

◯ ポジション (Position)⇒ 彼らの公式な見解・ポジションは何か?

◯ 心配事 (Concern)⇒ 彼らの心配事は何か?

◯  ニーズ (Needs)⇒ 彼らのより深いレベルにおけるニーズは何か?

◯  動機 (Motivation)⇒ 相手にとっては何がインセンティブになるか?

◯  圧力 (Pressure/Disincentives)⇒ 相手にとっては何が圧力になるか?

 

これらをまとめると、脅威は脅威のレベルを適切に認識し、それに対する脆弱性(vulnerability)を下げ、相手の動機に働きかけることにより、積極的に紛争を予防することができる、ということができます。

 

ここまでをまとめると以下のようになります。

 

ある状況が本当に危険なのか?を判断するためには、

① 相手の意図や動機、目的は何なのか?を理解すること (脅威)

②こちらが相手にどう見られているのか(脆弱性)

③ こちらは相手にどう働きかけることができるのか (影響力)

の三点です。

特に、自分が思っているイメージ、または、こちらが伝えたい印象と現地の人が受けとっている印象の間にギャップ?があることがあります。例えば、このような質問が役に立ちます。(続)

ベルリン3