金と銀の差を分けるものーフェルペス選手はどうやって逆境を乗り越えることができたのか?

連日リオデジャネイロ・オリンピックの接戦が繰り広げられていますね。

 

その中で、「水の怪物」と呼ばれているアメリカのフェルペス選手が、北京とロンドンオリンピックで圧勝した後に目標を失い、アルコール依存になったり、一時期は自殺を考えた時期から、どうやってその逆境を乗り越えることができたのかに興味をそそられました。

 

実際に彼は、北京オリンピックと、ロンドンオリンピックが終わった時点で、それぞれこう言ってます。

 

「北京のような練習をもう一度するなんて冗談じゃない。もう目標を達成したから、やるべき事なんてない。世の中にはもっと楽しいことがある。自分探しをしたい。」

 

2年ほど経ってから、ロンドン五輪を目指して再びプールに戻ってきたものの、目標は明確ではなく、練習への遅刻、無断欠席が続いたそうです。

 

「何もかもどうでも良かった」

 

「30歳になったら泳ぐのを絶対にやめるんだと自分に言い聞かせてきた。30歳の人を悪く言うわけではないけれど、それを自分にずっと言い聞かせてきた。あと3年後には30歳になる。だから、今後3年間を泳いでいきたいとは思わない。」とも言っています。

 

私たちがテレビで目にするのは華やかな舞台ですが、その影にはものすごい練習量があって、自分を支える新しい「目的」や「意味」を探しているようなニュアンスも伝わります。

 

そんな彼が、いったん目標を失った後、再び泳ぎ始めるきっかけとなったのは何だったのでしょうか?

 

フェルペス選手は、7歳の時に父親が家を出て行ってから、母子家庭で育ち、1つのことに集中できず、色々なものに注意がいってしまって落ち着きがないことからADHDと診断され、これを克服するために水泳を始めたと言われています。

 

そして、彼の才能を見抜いてくれたバウマンコーチとの運命的な出会いを経て、北京とロンドンで18個ものメダル獲得する偉業を達成。

 

ロンドンオリンピックの後には、バウマンコーチに「最高の水泳選手になることができたのは、ここまであなたと一緒にやってこれたからです。」と感謝の言葉を伝えます。

 

メディアにも「彼がしてくれたことがなければ、今僕はこの場になっていないでしょう。この15年間、クズみたいな僕にずっと我慢して面倒を見てくれた彼に心の底から感謝しているし、愛しています。文字とおり、感謝してもし尽くせません」と語っています。

 

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そんな彼ですが、ロンドンオリンピック後、アルコールとカジノに溺れ始めます。

 

「家族は母と姉2人で男は僕1人。北京、ロンドンというような節目に、これからどう生きていったらいいんだろう。そう思っても導いてくれる父親がいなかった。辛かった。」

 

家族の誇りであり続けなければならないプレッシャー。

相談する相手もいない。

またお金目当てで近づいてくる人たちにも疲れて、アルコール依存に陥った、と言われています。

(http://number.bunshun.jp/articles/-/826266より)

 

 

一時期は自殺を考えるほどになります。

 

日本ではあまり報道されていませんが、彼は米国のメディアで当時の心境を赤裸々に語っています。

 

“I was a train wreck. I was like a time bomb, waiting to go off. I had no self-esteem, no self worth. There were times where I didn’t want to be here. It was not good. I felt lost,” Phelps revealed.

 

「一時期は、自分がこの世の中からいなくなったらいいのに、とさえ思った。まったく自信をなくし、自分に価値があるとも思えなかった。」

 

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そして、一週間ほぼ何も食べず、ほとんど眠らず、自殺することを考える。。。

 

そんな時期、フェルペス選手の長年の友人で、NFLで活躍するレイルイス選手が、フェルペス選手にアルコールを断ち切るためのリハビリ施設に入ることを勧め、ある一冊の本を彼に手渡します。

 

その本とは、アメリカで発売後1年で1000万部を越え、現在では3000万部を超えるRick Warren著の、The Purpose Driven Life (邦題: 人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章)でした。

 

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そして、フェルペス選手は、その二日後にリハビリ施設からルイス選手に電話をします。

 

“Man this book is crazy! The thing that’s going on…oh my gosh…my brain, I can’t thank you freaking enough, man. You saved my life,” Phelps told Lewis with excitement.

 

「この本はクレイジーだ!オーマイガッシュ。。。信じられない。君にはお礼を言っても言いきれない。君に救われたよ。」

 

 

別のインタビューでは、さらにこう答えています。

 

In a recent interview with ESPN Magazine, Phelps explained that the book “turned me into believing there is a power greater than myself and there is a purpose for me on this planet.”

 

「自分の力よりも大きな力が存在するってことを信じるようになったんだ。そして、この地球に生まれた目的があるってことを。」

 

Lewis

 

 

そして、彼はさらに、母親が離婚して以来ほとんど会ったことのなかった父親に会いに行くことを決めます。

 

“I didn’t want to have that ‘what if.’ I didn’t want to go through life without having the chance to share emotions I wanted to share with him. That’s what I missed as a kid,” Phelps said.

 

「僕の気持ちを伝える機会を一生逃したくないと思ったんだ。僕は子どもの頃から自分の父親に自分の気持ちや感情をシェアしたいってずっと思っていたから。」

 

 

そして、その3ヶ月後、彼は、長年のガールフレンドだったニコールにプロポーズをして籍を入れます。

 

そして、すぐに子どもに恵まれます。(ちなみに、子どもの名前のミドルネームにはコーチへの尊敬の念を示して、コーチの名前をつけています。)

 

愛する家族に自分のプレーを見せること、が彼の新しい原動力になり、3連覇、金メダル23個、という今回の「偉業」につながったのです。

 

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陸上やラグビ一など体が大きい方が圧倒的に有利な競技はありますが、オリンピックの決勝レベルになると、身体能力の差はごく僅かだと言われています。

 

高校野球を見ていても、一回戦で圧倒的な勝利を収めたチームが二回戦では気持ちが緩んだのか、同じチームとは思えない位ぼろ負けをすることがあります。

 

そんな時に人に「力」をくれる「考え方」とはどういうものなのでしょうか?

 

もし、身体能力にはそれほどまでの「差」がないのだとしたら、最終的に金メダルと銀メダルの「差」を決めるものは何なのでしょうか?

 

 

続く

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Tokyoオリンピック誘致プレゼンに見る世界を動かすコミュニケーション(2)

東京オリンピック誘致チームは東京をどう世界にプレゼンしたのか?東京オリンピック誘致のコンサルタントチームのコメントを見ていくことで、世界を動かすコミュニケーションのコツが見えてきます。

2016年の時にTokyoの魅力を上手く伝えられなかったという反省から、Tokyoの強みとストーリーを再定義することから準備が始まったことを前回紹介しました。

ではプレゼンの練習で重要だったことは?プレゼンコーチ、Martin Newmanさん(キャメロン首相やプーチン大統領のコーチもつとめた人です)が、誘致プレゼンにとって一番大事だったことを講演で伝えてくれました。

(3)どんな印象を残したいのかを決める

人は言葉の7パーセントしか覚えていない。だから、大切なのはどんな印象を残したいかを決めること。当時のTokyoの印象は、安全だけどつならなそう。。。

「まず、東京チームは自分たちの残したい印象を『Shining』(輝いていること)に決めた。その精神は発表者全員によく浸透して、練習が上手くいかない時や迷った時には、Shiningしてるかを基準にして互いに助けあっていた。情熱を伝えることをとにかく重視した。猪瀬知事は英語が苦手で日本語でやってもいいと言ってあったんだけど、自分も輝いていることが大事だって言って一生懸命英語のスピーチを練習していたよ。」

(4)表現力を高める

「太田選手には『銀座のパレードには50万人もの人が集まりました』の感動が本当に伝わるまでそれこそ何百回も練習してもらった。佐藤選手のスピーチは感動的だったので、それが伝わるように彼女には間をとることを意識してもらった。」

(5)頭とハートを繋げる

「画像を通じてTokyoのワカモノの躍動感を伝えることを意図したように、舞台でも佐藤選手、太田選手や滝川クリステルさんといった若い才能ある人達に思いっきり彼らの魅力を表現してもらうことを心がけたよ。

こうして『安全だけどつまらなそうな東京』は『安全かつエキサイティングで行ってみたい東京』になって、IOC委員の頭とハートの両方を勝ち取ることができたと思うよ。」

なるほど。どんな印象を残したいのか?を先に決めておく。それに従ってどんな言葉回しがいいかを決めていくー。私たちはかっこいい言葉使いを考えることに時間を使ってしまいがちですが、メラニアンの法則が教えてくれているように人は言葉の7%しか覚えていないのですよね(笑)。とすると、自分が伝えようとしている内容と一環したエネルギーを放っているのか?その一点に尽きるというわけですね。納得です。

最後の言葉も印象的でした。「『日本には出る杭は打たれる」というフレーズがあるらしいけど、今回発表してくれた若い人達が見せてくれた。思いっきり出てしまえばいい。そしたら金メダルだよ!」