「ゆとり世代」的現象は日本だけでなく世界各地で起きている全世界的な現象であることをご存知でしょうか?
日本だけ見ると少子化ですが、全世界的に見ると、2025年までには、全世界の労働人口の75%は若者たちになると言われています。この若者たちは、世界の変化の激しい中、スマホやSNSと共に大人になっている今まで人類が体験したことのない世代でもあるのです。
そして、例えば、自分は世界をよくするために働いていると感じたい、自分の才能を社会のために活かしたい、自分を成長させてくれる機会や自己表現の機会には貪欲。でも、権力やヒエラルキーは通用しない。。。
日本の若者は、そこまではっきり表現しないためか、日本では一般的にはネガティブなニュアンスで語られる「ゆとり世代」ですが、当たり前ながら彼らには彼らの理屈があり、どうやら世界的な現象らしいのです。
スイスの名門MBAプログラムIMDの学長を務めるドミニク・テュルパンが面白い表現をしているので紹介します。
世界の変化が激しい今の時代、まず世界的に何が起きているのかを理解しよう、というくだりの中で、
1、競争環境の変化
2、市場(顧客)の変化
3、働き手の変化
の、中で「働き手の変化」が取り上げられています。
(「ふたたび世界で勝つために:グローバルリーダーの条件」2015年、日本経済新聞社より)
働き手の中心世代が変われば、働き方、価値観、職場の文化、情報などに対するスタンスも大きく変化します。
すると、同時に、彼らをどう導いたらいいか、というマネージメントやリーダーシップのスタイルや職場の文化も当然適応することが求められます。
ベビーブーマー世代 (1946年~64年生まれ)が世界的に引退に近づく一方で、ジェネレーションX (1965年~1980年生まれ)とジェネレーションY (1981年~1994年生まれ)が企業の中心的な働き手となりつつあります。
ジェネレーションYは、日本で言うところの「ゆとり世代」と重なり、また世界的にはミレニアル世代とも言われます。
特に、テクノロジーやリーダーシップ、転職、情報などに対するスタンスにある特徴が世界共通に見られることが指摘されています。

《テクノロジーに対するスタンス》
ベビーブーマー世代:「テクノロジーはあんまり得意じゃない。正直面倒。」
ジェネレーションX:「テクノロジーは不可欠」
ジェネレーションY:「テクノロジーは基盤。最新のものが必要」
《リーダーに対するの期待》
ベビーブーマー世代:「『とにかく仕上げろ』と叱咤激励して欲しい」
ジェネレーションX:「『コーチ』として自分の力を引き出し、動機づけて欲しい」
ジェネレーションY:「同じ目的に向かって『パートナー』として共に歩んで欲しい」
《転職について》
ベビーブーマー世代:「転職はキャリアを後退させるもの」
ジェネレーションX:「転職を含め自分の可能性を追求するのは当たり前」
ジェネレーションY:「転職するにも起業するのに垣根はない」
《情報へのスタンス》
ベビーブーマー世代:「情報を小出しにすることで自分の権威を守ろう」
ジェネレーションX:「ネットワークを形成し、その中で情報を動かし生かす」
ジェネレーションY:「公私問わず、常につながり、コラボしていく」
日本では日本特有の要因としてバブルの崩壊といわゆる「ゆとり教育」の時期が世代の特徴を述べる時の要因としてよく指摘されますが、それだけではこの世界的な現象を見落としてしまいます。
つまり、先進国における少子化、生まれた時から充分にものがある世代、環境や世界の課題に対する危機感、新興国なども含めたデジタル化・グローバル化、FacebookやYoutubeなどで世界中の情報を瞬時に触れることができる「インスタント情報化」などが世界の若者世代の価値観を共通の方向に導きつつあることも事実なのです。
ところで、この本のタイトル『ふたたび世界で勝つために』の「勝つために」はミレニアル世代にとってはちょっと「疲れる」表現かも知れませんね。
さて、世界100カ国、18-25歳の42,257人の調査より若者の本音を伝えた興味深いレポートがあります。
ミレニアム世代の力を活かすためにその上の世代やリーダーが知っておくこととは何でしょうか?
権力やヒエラルキーが通用しない若者たちー新世代を活かすためにリーダーが知っておくこと ②
