前に進みたいと思っているのに悩んでしまう時、動けないとき、決められない時がありますか?
深い部分では、たいていの場合、なんらかの不安がその人を止めています。
ばく然と嫌な感じやモヤモヤするという体験はあっても、いったい何が自分を止めているのか、本人が気づいていないことも珍しくありません。
スポーツ界では、選手の体力や技術の差はもはやごくわずかで、日常的に差をつけるのはメンタル面であると言われています。
毎日練習を積み、一流の技術を持つ選手でさえ、いくら練習を積んでも不安がまったくなくなることはありません。
若い選手、すでに実績を残している選手、それぞれの悩みや不安があるのだと思います。
そうした時、スポーツ心理コーチは、「不安」の根源を突き止めることをします。
なぜ、自分は不安を感じているのか?何が起きることが怖いのか?という不安の「原因」を探るのです。
2015年、ラグビーワールドカップで日本チームが強豪南アフリカに勝利したことが話題になりました。
本番が近づく中、チームでは不安も緊張も高まっていたそうです。
同時に、ラグビー日本代表チームには、心理面における選手へのサポートもあり、スポーツ心理学者の荒木香織さんなどがチームの不安への対処に取り組んだと語っています。
不安の原因を一つ一つ分解していくのです。
これは、私たちの日常生活にもそのまま当てはまります。
最悪の場合、何が起きることを一番おそれているのか?
自分にとって一番怖いことは何か?
人間根源的な欲求は、大きくいって5つに分けられると言われています。
(1)制御欲求(コントロールしたいという欲求)
(2)承認欲求(認められたい、愛されたいという欲求)
(3)安全欲求(生存、安心したいという欲求)
(4)一体の欲求(所属感、つながり)
(5)存在の欲求(尊厳、意味、貢献)
これを逆にすると、これが満たされないことを人はおそれるということになります。
「それで食べられなくなること」がこわい、というよく言われることがあります。
確かにそういう不安や恐れがあるのも事実でしょう。
でも、それをさらに掘り下げていくと、
おそらく、
生存や安全のおそれよりも、
拒絶されるおそれ
認められないおそれ
存在価値が否定されるおそれ、
といったものの「おそれ」の方が、現代人にとっては強いのではないかと思います。
不安のほんとうの原因がわかれば、問題の一番難しい部分が解決されたのも同じです。
そして、次のステップは、その不安の原因を減らすためには、どんなことができるのか?という対処法を考えていくことができます。