社会人になったら本を最初から読む必要はありません。
自分に必要な一文、または自分が伝えたい仮説の根拠やデータを探すためにページをめくります。
それを学んだのは、オックスフォード大大学院でのチュートリアルでした。
チュートリアルとは、教授と学生が1対1、もしくは1対2で対話をしながら学んでいく個人指導でした。
アメリカの大学が授業でのディスカッションへの参加と毎週出される課題を中心に進んで行くのに対し、オックスフォードではこのチュートリアルこそが日々の学びのメインであって、講義の数自体もそんなに多くなく、講義はチュートリアルを補完するものとしての位置付けでした。
学生は、チュートリアルの前に資料(文献)を読み、そのテーマについてどんなことが言われていて、何が大切だとされているかについてまとめ、小論文という形で課題の質問に答えます。
文献の量は、1週間で20冊~50冊位のリストが渡されます。
オックスフォードでは、この作業を一年で、一学期8週間×3学期=計24回を繰り返します。
それだけ聞くと、さすが頭がいい人は読むのが早いんだろう、それだけできるんだ、と思われるかも知れません。ここでお伝えしたいのは、そういうことではなく、ここで学んだことは、「必要なところだけ」を読むという読み方でした。
本を最初から最後まできちんと読むということはほとんどありませんでした。単純に間に合わないからです。
ですので、自分が知る必要があることは何か?と先に決めて、目次を読んで、あたりをつけてそこから読みます。
それがなんとなく分かったら次の本を手に取ります。
そして同じことを繰り返して、仮説を検証していくのです。
私が入学したばかりの頃は、1冊目の本にかなり時間をかけていました。
しかし、単純にそれでは間に合いません。
一冊に時間をかけ過ぎていることに気づきました。
読み方を変える必要があったのです。
最近、「考える力」に教えて欲しいと言われたので、考える力について書かれている本をまとめて15冊くらいはざっと目を通しました。
思考法、クリティカルシンキング、質問する力、などのタイトルでした。
その中の数冊はパラパラ開いて1分でおしまいになりました。
その中の数冊は一冊につき、30分くらいかけて目を通しました。(付箋が3つくらいついてメモしました)
その中の2冊はジムでバイクで6キロ走りながら30分で読みました。
ある一冊は、数時間かけてじっくり楽しみんがら読みました。
もちろん、カフェで本を片手にのんびりしたいという時に読む本もありますし、寝る前に読む本というものもあって、こちらは読むと精神が落ち着くような一日一章じっくり味わって読むようなものです。
ここでお話ししているのは、限られた時間内になんらかのアプトプットをしないといけない場合のことです。
これは、社会人の仕事のやり方にそのまま当てはまります。
大量の仕事が目の前にあるときに、これを真面目に最初から最後まで「ちゃんとやりたい」と思ったら終わりません。
残業が続いて、自分をすり減らすことになってしまいます。
これを終わらせるために、ぜったいに外してはいけないポイントは何か?を先に見極めることが大切です。
そして、それに自分しかできない付加価値を加えられるとしたらなにか?自分にしか言えないこと、自分にしかできないことは何か?ー自分に問い続けることです。