私が「南谷 真鈴」という人間になるために、あの山はどうしても欠かせないものだったのです。
エベレストに日本人最年少登頂。現役大学生で、 エベレストや北極点到達など七大陸最高峰制覇を達成。南谷 真鈴(みなみや まりん)さんの本です。
•2015年1月 – アコンカグア登頂
•7月 – キリマンジャロ登頂
•8月 – モンブラン登頂
•10月 – マナスル登頂
•12月 – コジオスコ登頂
•12月 – ヴィンソン・マシフ登頂
•2016年1月 – 南極点到達
•2月 – カルステンツ・ピラミッド登頂
•3月 – エルブルス登頂
•5月 – エベレスト登頂 (日本人最年少)
•7月 – デナリ登頂
•2017年4月 – 北極点到達
最後の最後の100メートルでエベレストへの登頂を諦める場面、死にそうになる場面などなど、いろいろな面で読み応えがあるのですが、私が特に面白い!と思ったのは冒頭にあったこの文でした。
日本最年少でエベレストを目指した理由は?
世界七大陸最高峰を登頂しようと思ったのはなぜ?
それに対する彼女の答えです。
「でも私が冒険をしたのは、自分の内側から湧いてくる純粋な『やりたい』という気持ちからでした。これに勝る『何かをする理由』はないと思っています。」
「さらにエベレストは、私の過去と未来と両方のために必要でした。」
私が「南谷 真鈴」という人間になるために、あの山はどうしても欠かせないものだったのです。
冒険に一つの区切りがついて、今の私は南谷 真鈴になりかけています。」
冒頭の登山歴だけを見ると「華やかな経歴」が印象に残るかも知れませんが、彼女が一番初めの山に登ろうと思った時には、彼女は、両親の離婚の危機と香港や海外で過ごした幼少期の「自分はどこの国の人か分からない」というアイデンティティー・クライシスを体験していました。
中学生だった彼女はこう思います。
いつか絶対にエベレストに登ろう。
この山に登ったら、本当の自分が誰なのかわかるし、本当の自分になれるかもしれない。
大変なプロセスを乗り越えてこそ頂上に立てるエベレストなら、自分の存在する意味が何なのかを教えてくれるに違いない。。。と。
そして、自分でスポンサーをみつけ、それを達成するのです。
しかも彼女の行動力。
「計画しているだけで実行しない限り、それは『いつか』であって『今』ではない。」
「七大陸の最高峰に登る前の私は南谷 真鈴ですらありませんでした。
私が私になるために、あの冒険が必要でした。
私が成長していく過程に必要なプロセスが、エベレスト登頂でした。
自分がもっと強くなり、もっと大きく未来を広げるためのツールがあの七つの大陸の山々だったと思っています。」
…中略…
いくらでも表面的には世界の映像を見ることのできる時代ですが、
本当の意味で「世界を見る」というのは外側に映る世界を見るのではなく、自分の内側の感覚が新しくなる度に「新しく見える世界」を広げることなのかも知れません。