先日、国際女性の日(3月8日)にアフガニスタン人の元同僚の男性からメッセージをもらいました。
「国際女性の日おめでとう!全ての女性に祝福を」
日本ではあまり耳にしませんが、海外では、3月8日は International Women’s Dayとして知られ、A Happy International Women’s Day!という挨拶が交わされることもあります。
この起源は、1904年3月8日にニューヨークで、働く女性たちが婦人参政権を要求してデモを起こし、その後、ドイツの女性たちなどから「女性の政治的参加と平等」のための記念の日にしようという世界的なムーブメントが動きがあったことがきっかけとされています。
オックスフォード大学しかり、ウィーンフィル管弦楽団しかり、世界的な歴史を持つ組織が、女性にもより平等に門戸を開き始めたのは70年代、そしてその数が増えてきたのはほんとうにこの20年くらのことです。
私自身も南スーダンといった紛争が起きていた国で働いてきましたが、現場では軍人の人たちと一緒に働くことも多く、同じチームの中で女性一人の時もありました。
そして、その中にはイスラム圏の人たちもたくさんいました。
その人たちの何人かと友達になった中で、彼らもほんとうは女性ともっと自由に接したいし、女性にもっと自由になってもらいたいんじゃないか?と思ったことがあります。
イスラム圏では、社会的に男女の役割や規範が細かく決められています。
例えば、女性は男性が一緒に食事をしない、
女性は学校に行かなくていいとされたりする地域もあり、
女性の地位はまだまだ厳しい状況にあります。
以前、バングラデシュ軍で国連の平和維持活動に関する訓練の講師を務めていた時、ジェンダーについての講義を担当することがありました。
国連の平和維持活動に関するトレーニングには国連が規定した全世界共通の項目があり、そのうちの一つがジェンダーなのです。
世界の半分は女性。
そして紛争地で真っ先に影響を受けるのは女性や子供たちです。
彼らが派遣先の国の治安を守るという重要な仕事を果たす上で、
女性がどのようなチャレンジに直面するものなのかを理解するという意図でした。
ただ、派遣先はイスラム圏。
ましてや相手は軍人。
ジェンダーの話しがどこまで通じるんだろう???
どこまで耳を傾けてくれるんだろうか?
正直、はじめは懐疑的でした。
まずジェンダーという概念について説明しました。
「『男女の役割』というのは文化的、社会的に規定されているものです。
男女の役割は社会の変化や世代を経て変わることもあります。」
すると、と手があがりました。
「世代で変わることもあるってどういう意味ですか?」という質問でした。
単純に、バングラデシュではちょっと想像がつきにくいのですが。。。?!
そんなニュアンスが伝わってきました。
こんな説明をしました。
「私の祖母は沖縄の片田舎に生まれました。その村で子どもを8人育てました。
その娘(私の母)は戦後、その片田舎に生まれながら、
船と電車に乗って東京にやってききました。
働き始めて数年後に男女雇用機会均等法が制定され、当時としては珍しかった女性のフルタイムのプロフェッショナルとして定年まで働きました。
孫(私)は国連に入り、ニューヨーク本部や南スーダンで働きました。
最近、ひ孫(姪っ子)が誕生しました。
彼女はとても活発なので南スーダンでは飽き足らず宇宙へ行ってしまうかもしれません。」
最後に笑いがおきたので通じたようです。
バングラデシュでは女性のトイレがあまり整備されていなく、バスに乗る時などは女性が何時間もトイレを我慢することを知って、ショックを受けた話しもしました。
紛争の前線を経験してきた人も含め、現役の軍人ばかりでしたが、親身に耳を傾けてくれました。
講義の後、彼らのうちの何人かが私のところに来てこう伝えてくれました。
「実はずっとこういう話しをしたいと思ってたんです」と。
新鮮な驚きでした。
南スーダンにいた時には、パキスタン軍の人たちと仲良くなり、よく一緒にご飯を食べていました。
パキスタンという国は社会・文化的に男尊女卑であるばかりか、軍人という立場もあって、母国で女性と普通におしゃべりすることはほとんどないようです。
私は軍人でもないし、まったくの個人同士の付き合いです。
自然と冗談を言い合ったりすることもあります。それは私にとって当たり前のことだったのですが、あちらにとっては当たり前じゃなかったのでしょう。
当たり前ながら彼らも普通の人間。
やっぱり、冗談を言い合ったり、ツッコミを入れたくなることもありますよね。
そんなたわいもないことが、こちらが想像する以上にとても楽しかったようなのです。
イスラム圏の男尊女卑と言われている社会でさえ、
個人的には必ずしもそれでいいと思っているわけではなく、
男性自身、本当はもっと自由に女性と接っしたいー
しかも、女性にもっと自由であって欲しいと思っている(!)
そう思っている人は実はけっこう多いんじゃないか?
この体験からそう思っています。