もしオリンピックでメダルが欲しいとしたら、足が長い選手、音感がいい選手、技術の高い選手ーさて誰を選んだらいいのか?
「それはあったらいいけど、なくても大きな問題とは言えないものばかり」と言います。
8回ものオリンピックでメダルをもたらしている奇跡の人、井村雅代シンクロナイズドスイミング女子監督の発言です。
実際に彼女が指導した選手の中で、足がとても長い選手がいたそうです。
シンクロでは、足が長い方が圧倒的に見栄えがいいです。
でも、その選手は「気が弱い」という側面も持っていた。
それについて彼女はこう言っています。
「神様は平等。ちゃんと誰にも長所と短所を作っている。」
なるほど。確かに、足の長さや身長だけが長所となるとしたら、日本はシンクロでもメダルを取り続けることはできなかったでしょう。
だったら、ロシアにはないけど日本にあるのはなんだろう?と彼女は考えます。
そして、彼女は、選手たちと一緒に日本しかできない演技を考え、いろんなものにヒントを求め、その分野の人たちから指導を受けます。
時には、
阿波踊りを見に行き、
フラメントを見に行き、
シルクドソレイユの指導も受け、
空手の先生から直伝で
武道の精神や空手の型の指導を受けます。
身体面では足りない点に目を向けたらそれはどうしようもないけれども、彼女は「日本しかないところ」に目を向けたのです。
シドニー五輪のチーム演技を私も見ましたが、思わず「すごい!」と叫びたくなるような渾身の演技でした。
彼女の思考の反転もさすがと思いますが、さらに「ああ、この人はほんとうに本物だ」と思ったのは、この発言。
「あの時は悔しかった。だって、あんな演技でメダルをとったから。」
結果をみたら、メダルを獲得したけれども、彼女はその演技は一生懸命やってなかったので、そのことに対して「悔しい」と言ったのです。
あっぱれ!
↑リオオリンピックでメダル獲得の瞬間。