人道援助・平和構築にとってストレスと燃え尽き症候群は、職務に対する適正のなさではなく職務上のハザード

人道支援や平和構築従事者にとって、ストレスとバーンアウト(燃え尽き症候群)という現象を、職務に対する適正のなさではなく、職務上のハザードとして認識することが求められています。

 

人道支援や平和構築従事者をめぐる治安状況はこの10数年で劇的に変わっています。人道支援を必要としている受益者が増えると同時に、人道援助・平和構築従事者に対する直接的な危害等はこの10年で倍以上に増えています。

 

また、そうしたリスクのある環境に長い間身をおくこと、なんらかのトラウマ的な体験を経た人と一緒に働くこと、または、トラウマ的な体験をした人たちの支援に関わることによって、人道支援や平和構築従事者が二次的外傷性ストレス(secondary traumatic stress)、または代理トラウマと呼ばれる、直接紛争を体験するような影響 (PTSD)を受ける可能性があることが知られています。

 

2013年にUNHCRによって行われた調査によると、47%のスタッフがなかなか寝付けない、57%の職員が空虚感を感じたことがあると回答しています。現場で人道援助に関わった人の5%~10% (30%という指摘もある)がなんらかの形でPTSDのリスクを抱え、40%以上の人が燃え尽きのリスクに晒されているという指摘もあります。

 

実際、職務の性質上、心的に混乱している人、腹を立てている人、悲嘆にくれる人、攻撃的な人、トラウマ的な兆候を示す人など、さまざまなストレスを抱えた人たちと接することは援助者に強い負担を伴います。また、あまりの課題の大きさや目の前の状況の過酷さに圧倒されると、自分の無力感や罪悪感が引き起こされ、必要以上にシニカルになったり、無感覚になることもあるかもしれません。

 

この数年において、人道援助や平和構築に関わる人たちが現場で直面するストレスや燃えつき症候群(バーンアウト症候群)に関する課題がクローズアップされています。2015年12月10日には、国連総会において、国連と人道援助従事者の安全に関して十分な配慮を行うことを求める決議(A/RES/70/104)が採択され、2016年の人道サミットにおいても、援助従事者のバーンアウトの課題が話題にされました。

 

このようなことが示すように、現場でのストレスやバーンアウトの課題は、職務に対する適正のなさではなく、職務上のハザードとして認識されているのです。

 

援助者と援助者を送り出す組織が、紛争地におけるトラウマの課題と援助者側の心身に起こり得る心理的・精神的反応を知っておくのは、自身の安全を確保する上でも喫緊の課題と言えるでしょう。

 

この講座では、ソーシャルワーカーや医療従事者などの対人援助職でみられる「対人援助疲労」・「共感疲労」「燃え尽き症候群」と呼ばれる現象とその予防策を、人道支援・平和支援従事者向けに整理してお伝えします。

 

平和構築関係者が多く受講することで知られる紛争地でのトラウマケアプログラム、Strategies for Trauma Awareness and Resilience (STAR)のエッセンスを交え、紛争後の社会の心理的適応・回復メカニズムを紹介しながら、それが、援助者にどう影響しうるのかー現場での心理的・精神的反応を国連職員としての現場の体験を交えてお話しします。

 

最後に援助者と組織ができる予防策と対策、「心的外傷後の成長(post-traumatic growth: PTG)」という概念をお伝えします。

 

star-trauma-healing-model

⬆️ 紛争後の社会が体験する心理的な適応・回復プロセスについて(STARより引用)

 

《この講座で学ぶこと》

⭐️ 紛争国における心理的適応のメカニズム(無感覚、怒り、無力感など)

⭐️ 援助者が現場で体験する・示す心理的・精神的反応(圧倒感、イライラ、怒り、無力感など)

⭐️共感疲労・燃え尽き症候群の特徴について

⭐️ 対人援助疲労・共感疲労と援助者のタイプについて

⭐️ 援助者としって知っておくべき健全な「境界線」(boundary)を持つということ

⭐️ 援助者と組織が今すぐにできる「共感疲労」予防策と対策

⭐️ 心的外傷後の成長(post-traumatic growth: PTG)について

 

 

《この講座を受けてほしいのはこのような方です》

⭐️ 紛争国での勤務を予定されている方、赴任中の方、帰国された方

⭐️ 援助者として共感をもちつつ、かつ受益者との健全な距離のとり方を学びたい方

⭐️ 現場の同僚を支援する立場にある方、組織として赴任者をサポートしたいと考える方

⭐️ 紛争地での勤務の後に、些細なことでイライラしたり怒ったりすることが多いと感じる方

⭐️ 自分は燃え尽きつつあるかもしれないと感じる方

⭐️ 現場での課題に圧倒される感じがして、やってもやっても終わらないと感じる方

⭐️ 援助者としての役割を心理的な側面から理解したい方

 

woman meditation on the beach

 

《講師 大仲千華》

国連職員として、南スーダン、東ティモールやニューヨーク国連本部などにおいて、元兵士の社会復帰支援(DDR)や国連平和維持活動、現地国政府の人材育成に約10年従事。2011年からは、米軍の専門家として、国連の平和支援に参加するアジアの軍隊に派遣され、講師を務める。南スーダンにおける除隊兵士の動員解除・社会復帰支援(DDR)では、ソーシャルワーカーや心理サポートを取り入れるなど、社会心理面からのアプローチに興味を持つ。

帰国後、PTSDから燃え尽き、何もやる気がしない・朝起きれない・働けなくなり、心理学やカウンセリングを学び始める。現場での仲裁や対話、心理面からのアプローチを目の当たりにし、現在は、カウンセラー・コーチとして活動中。世界で二人目のプラクティショナー認定を受ける。課題の「根っこ」の部分を見据えた的確なアドバイス洞察力は評判が高い。医療従事者の燃え尽き症候群などのクライアントも多い。紛争とトラウマケアに関する研修コース Strategies for Trauma Awareness and Resilience(STAR)終了。

 

カウンセリングについてはこちら⇨コーチング・カウンセリング

 

《日程》

⭐️第一回 日時: 2016年12月3日(土)  13:30-16:30

場所: スクエア荏原第二小会議室

 

お申し込みはこちら⇨ お申込みフォーム

スクエア荏原アクセス: http://goo.gl/VNzroL

(南北線、三田線、目黒線武蔵小山駅、戸越銀座より徒歩10分)

 

講座参加費:5,000円(税込み)

⭐️第二回 日時: 2016年12月10日(土) 13:30-16:30

場所: スクエア荏原第二小会議室

 

お申し込みはこちら⇨ お申込みフォーム

スクエア荏原アクセス: http://goo.gl/VNzroL

(南北線、三田線、目黒線武蔵小山駅、戸越銀座より徒歩10分)

 

 

講座参加費:5,000円(税込み)

 

国連職員だった私がなぜコーチング・カウンセリングを始めたのか?

国連職員だったのになぜコーチング・カウンセリングを始めたのですか?と聞かれることが多いので、最近少しづつ文字にし始めてます。完璧に表現できていない部分もあるけれども、どうしたらより通じるのか、表現することで学んでいっています。

 

長年の紛争地での国連ミッションから日本に帰国して気づいたことがありました。それは日本人の共感能力の高さです。

 

もしかしたら、「当たり前」のように思われているかもしれませんが、これは世界的に見ても非常に稀有な能力です。

 

これからの時代、こうした「感じるとる能力」はますます求められていくと思います。

 

ただ、同時に、あまりに課題が大きいと感じる時、自分が思うように出来ないことに無力感を感じて、その感覚に圧倒されるばかりに「無感覚」になっている人も多いんじゃないか?とも感じました。

 

また、空気を読むばかりに、いつの間にか、自分の価値観よりも他人の価値観が優先になってしまって、でも内心は実は「怒っている」人も多いように感じました。

 

いかにもわかり易く、怒ったりする人もいますが、日本社会では、一見おとなくしくて礼儀正しいように見えても、例えば、朝の満員電車で、周りにぶつかって降りていくような人を見かけるように、黙ってはいても密かに「怒っている」人たちです。

 

遅刻したり、ミスをしたりといった形で怒りを表現すること(本人の自覚があるかないかは別にして)は、「受動攻撃」と言われますが、日本は「受動攻撃性」が強い方だそうです。

 

だとしたら、もしかしたら、私が南スーダンなどで見てきた紛争とは形は違えど、「根っこ」は一緒かもしれない。

 

私自身、帰国して気がついたら燃え尽き症候群になっていましたが、何のやる気も感じられず、働けなかった状態から、少しづつ気力を取り戻していくに従って、要らないものが「削げ落ちていった」のでしょう。

 

自分が自分を受け入れ始めていくにしたがって、外からの評価を求めるのではなく、自分がただ自分でいることによる安心感や自由を伝えたいと思い始めました。

 

自分が自分であること。

誰かと比べる必要もなく、ただ自分であること。

その安心感とエンパワーメントが広がっている世界。

 

そんな人が一人でも増えたら世界はもっと優しいところになると思う。

 

これが私がコーチングを始めた理由です。

 

コーチングについて・お申し込みはこちらから⇨大仲千華のコーチング

自分のストレスパターンを知る①ー爆発型?それとも内心怒ってる人の場合は?

何か勇気を出して相手に伝えなきゃいけない時、新しいことを始める時、昇進したいけど自信がない時、初めてデートをする時。。。

 

そうでなくても、ともかくストレスを感じる?!

 

現代人のストレスレベルは高いようですが、ストレスを感じる時、私たちはいつもの「行動」や「ふるまい」をほぼ意識することなく自動的に繰り返しているそうです。

 

なにか「心地悪さ」を感じる時、自分に負荷がかかっている時、私たちはどういう風に反応しているのでしょうか?

 

まずは、自分はストレスを感じた時にどう振る舞うかという自分の「ストレス反応」を知ることができます。

 

 

ストレス反応のパターンについて以下の5つの視点から一緒に見ていきたいと思います。

 

①ネチネチ型 vs 感情爆発型

② 外に出す vs. 内にこめる 

③ 向き合う vs 避ける

④自分優先 vs 相手優先

⑤ セルフエンパワーメント  vs 無力感

 

以下の質問に3段階(a)ほとんどそう、(b)ときどき、(c)まったくない、で答えて下さい。

 

①ネチネチ型 vs 感情爆発型

ーすぐにイライラする

ー一度怒り始めるとなかなか収まらない

ー誰かに怒りをぶつけてしまう・爆発してしまう

ー人や社会に対して批判的だと思う

ー政治家とか政府とか誰かを責めたくなる

ー笑顔を装いながら心の中で舌打ちしてる

ーある人やある仕事に対して、遅刻したり、ミスが増えるたり、どうしてもモーチベーションがあがらない

 

 

② 外に出す vs. 内にこめる 

ー自分がストレスを感じていることを周りの人に知られたくない。

ー本当は怒っているかも知れないけれどもそれを人に見せることはない。

ー初めての人に会ったらその人を信用できるかどうか慎重に見極める。

ーストレスを感じていても誰かにそれを伝えることはない。

ー困難なことがあっても自分の感情について表現することはない。

ー誰かと意見が違ってもそれを言うことはない。

ー誰かとの関係で傷つくような体験があると人との関係を避けて一人になる。

 

これらの質問の意図は、ストレスを感じる時、私たちはどういう風に反応しているのかという自分のパターンや、さらにストレスを増大させる自分の中の「信念」や「考え方」に気づくということですが、それぞれの点で少しだけ補足したいと思います。

 

①ネチネチ型 vs 感情爆発型

 

いかにもわかり易く、怒ったりする人もいますが、日本社会では、一見おとなくしくて礼儀正しいように見えても、朝の満員電車で、周りにぶつかって降りていくような人を見かけるように、黙ってはいても密かに「怒っている」人たちはけっこういるようです。

 

また、だらだらと歩いたり、遅刻したり、ミスが増えたりといった形で怒りを表現している、「受動攻撃」と言われるケースも多くあります。ちなみに、私の先生は、世界中にクライアントを持っていて、世界中でワークショップをやっていますが、日本人は「受動攻撃性」が強い方だと言っていました。

 

一般的に(とくに日本では)、怒りを持つこと自体が悪いことのように思われがちですが、怒りを誰かにそのままぶつけるのは適切ではないですが、「怒り」というエネルギー自体が悪いわけではなく、怒りがない振りをするのも、ただ抑圧するのも逆効果です。

 

人間誰しも、「怒り」は感じるものなので(逆に感じない方がおかしいのです)、ただ、自分が怒りを感じる時に気づくこと、そして、何に怒っているのかに気づけばいいだけです。

 

また、怒りは、「恥」や「絶望」よりも周波数的にはより高い(喜びに近い)エネルギーです。この怒りというエネルギーを、例えば「パッション」としてクリエイティブに表現することも学ぶことができます。

 

 

② 外に出す vs. 内にこめる 

 

私たちは、社会の中で長年積みあげられてきた「~は~べきである」といったメッセージに常にさらされています。例えば、「女性はいつかは母親になるべきだ」「いい母親というものは、髪を振り乱してあくせくせずに、スマートにいつも優しくニコニコとしているものだ」「男性とは『弱み』を見せるものではない」「男性は不安になることはゆるされない」などです。

 

そして、日本社会はよくも悪くも「空気を読むこと」「和」を重んじることを重視する社会なので、そういう意味でも、ストレスを感じていることを誰か信頼できる人に個人的にこっそり打ち明けることはたまにはあっても、「どちらかと言うとそういうことは周りに知られたくない」という感覚が強いかも知れません。

 

ちなみに日本という社会は世界的にみても「恥」という感情がとても強いそうで、「自分はもっと~であるべきだ」といった観念が強いそうです。

 

その社会(自分)が求める像と実際の自分が違う時、私たちはそういう自分に対して「がっかり」したり「失望」したり、「恥」を感じたりします。

 

そして、そのイメージと現実の自分との「ギャップ」が、ストレスになります。

 

「恥」は感情の中でもとても強い感情です。絶対失敗をしたくない、失敗する可能性があることはともかく避ける人がいますが、自覚はなくても、実は深いところで、この「恥」がある場合があります。

 

リラックスできない、いつも「焦り」っている感じがある人、いつも「自分は~しないといけない」という強迫観念に追われている感じがある人は、なんらかの形でそうした観念と感情が作用している可能性が高いでしょう。

 

私自身もこれがとても強かったのですが、何か自分が思うように事が進まなかった時、または間違えた時、「だから言ったじゃないか」「そんなこともできないのか」といった「内なる批判の声」の声が発生することに気づき、「起きたこと (事実)」と「恥 (感情)」を分けることを学んできました。

 

私たちは誰かに批判されることも嫌ですが、実際のところ、もっと私たちを困らせているのは、自分の中の内なる批判の声なのです。

 

起きた事に対して、「事実」と「感情」を分けること、その事実をまず客観的に確認できること、そして、自分の中の感情に気づき、それを生じさせている自分の中の「観念・思考・ビリーフ」に気づくことができます。

 

 

次回は、

③ 向き合う vs 避ける

④自分優先 vs 相手優先

⑤ セルフエンパワーメント  vs 無力感

 

 

というパターンについて見ていきます。

 

続く

 

 

《体験談》プロジェクトと向き合う姿勢が変わりました

最近いただいた体験談を紹介しています。

 

⭐️この間の講座を受けてから、プロジェクトと向き合う姿勢が変わりました。千華さんのリーダーシップのあり方をお聞きできたことが大きいです。正式な役職に関係なく、関わる人たちの間を調整するのは、私の役割であるということに気が付きました。また、明らかになっていない課題に目をむけることを学び、手応えを感じています。

東京都在住 政府機関勤務、M.H.さん

 

 

⭐️職場で自主的な勉強会を立ち上げました。安全で安心できる医療を提供できるようにするためです。2か月しないうちに当初の予定よりも何倍もの人が参加してくれました。

チームとしての意識が上がると同時に、学ぶ楽しさを体験してもらっています。自ら考え、主体性に行動できることにもつながっていると思います。医療職の人達は程度の差はあれ、皆、人の役に立ちたいと思っている人達ばかりです。参加する人が優しさや思いやりを取り戻し、眼を輝かせているのを見るのはとても嬉しいです。

医療従事者にとって、こうしたセッションを定期的に受けることは、燃え尽きの予防になっていると感じます。

 

大阪府在住 医師  S.H.さん

 

⭐️千華さんとお会いしてからほんとうに物事の変わるスピードが早くなりました。
一回一回のセッションの後に起きる「気づき」の出来事もほんとに多くて、なんとなく分かっていたつもりのことが「腑」に落ちてきます。
自分が自分に向き合うことのできる時間と体験を大切にしていきたいです。
東京都在住 クリエーター・作家 A. K. さん

 

答えがないように見える時こそ、目の前の課題を整理することは、もともと自分の中にある答えや勇気、人間のや底力を呼び覚ます機会でもあります。

 

コーチングを終えた後には、「何をすればいいか分からない」という思考停止と行き詰まりの状態から、ああ!こうすればいいんだ!と光が見えるようになっていることが目標です。

 

こちらが一方的にアドバイスするというよりも、どんなことに悩んでおられて、どうしたいのかに耳を傾け、一緒に答えを探っていきます。

 

《大仲千華プロフィール》

国連職員として、ニューヨーク国連本部、スーダン、東ティモールなどで、元兵士の社会復帰支援などの平和支援に10年従事。多国籍チームのリーダーを務める。

2011年からは、米軍の専門家として国連の平和支援に参加するアジアの軍隊に派遣され、講師を務める。

帰国後、燃え尽き、PTSDとうつになり、何もやる気がしない・朝起きれない・働けなくなる。

心理学やスピリチュアリティーを学び始め、その過程で、科学と霊性の世界学会(ISSSEEM)にも招聘される世界的なティーチャーに出会う。自分の「弱さ」やシャドー受け入れ、統合していくことを学び、直感能力や洞察力、ヒーリング能力が飛躍的に開花する。

「自分の体験が他者への『贈り物』になる時、その傷は超越される」ことを日々体験中。オックスフォード大学大学院修了(社会人類学)。

 

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最後に。。。なぜ国連職員だった私がカウセリング・コーチングをしようと思ったのか?

私は長年の海外勤務から日本に帰って来て、気づいたことがあります。それは日本人の共感能力の高さです。当たり前のように思うかも知れませんが、これは世界的に見ても非常に稀有な能力です。

これからの時代、「感じるとる能力」はますます求められていくことでしょう。

 

同時に、そのせっかくの共感能力が、活かされていない、または、逆に「とりあえず周りに合わせればよい」という「迎合」になっているケースも多いように感じました。

また、本当はなんとかしたいと思っているのにもかかわらず、課題の大きさと複雑さにあまりに「圧倒されて」しまい、「無感覚」になっているのかも知れないとも感じました。

 

ただ、世界は日本の能力を必要としています。

 

技術、テクノロジー、ものづくりといった分野はもちろんのこと、求められているのは共感力やその精神です。

 

海外では自己主張しないといけないという誤解はまだまだ強いようですが、国連や紛争国といった場でさえ、求められていたことは、自己主張をするよりも、言葉を超えて相手が本当に求めていることは何かを全身を傾け理解することでした。

 

その精神でもって、日本はもっと世界の平和に貢献できると思うのです。

 

民族や宗教、意見の違いといったものを超えて、人と人をつなげることができる人を育てたい。

 

世界にはまだ争いが絶えません。ただ、そこにたった一人でもいいから、相手の言うことに相手に耳を傾けられる人がいたら?もう少し世界は住みやすい場所になると思うのです。

 

 

 

 

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米国大統領選についてー人間は誰もが怖れや偏見を持っていることを受け止め、それを一度浮上させ、自覚する必要がある

米国大統領選について。

 

2016年6月3日でクーリエジャポンで書いた「英国EU離脱」(ブレグジット)の件がそのまま当てはまることに少しびっくりしています。その時から、「兆候」はすでにあったのですね。

 

以下引用。

 

「移民や多様性を否定するような意見は『ポリティカリーコレクト』でないとされ、不安や本音を口に出すことが難しくなっていった。…(略)…

 

ただ、「こんなことを言ってはいけない」「こんな風に見られてはいけない」という自制や抑圧は、実際には誰のなかにもありうる「怖れ」や「偏見」を地面の下に押しとどめるだけです。

 

「反テロ」や「反差別主義」も、その問題に取り組むことをかえって難しくしてしまいます。

 

人間は誰もが怖れや偏見を持っていることを受け止め、それを一度浮上させ、自覚する必要があります。」

 

全文はこちらから ↓ ↓ ↓

Vol.3  「チンパンジー化」が進む地球の上で、未知の恐怖に打ち勝つ方法|大仲千華「答えを求めない勇気」

 

もう少しわかりやすくして、今回の大統領選の件について合わせて書き直したいと思っています。

 

サン・ピエトロ

日本にはギフテッドに関する認定はありますか?

日本にはギフテッドに関する認定はありますか?という質問をいただきました。

 

自分の子はとても賢いのに、とっぴな質問をするばかりに発達障害や低知能だと判定されたというケースのご相談やギフテッドというキーワードでの検索が最近に増えています。

 

中学生からも相談が来ることなどから推測すると、自分の子はギフテッドじゃないか?、ただあまりにも現在の学校制度との「ギャップ」があり過ぎて、どうしたらいいかと模索されている人の数はかなり多いのはないかと思います。

 

他にもたくさんの方が同じ質問を持っていると思うので、こちらでもお伝えしたいと思います。

 

最初に答えをお伝えすると、日本にはギフテッドの認定の基準も認定の機関も存在しません。

(デモクラティックスクール関係者や教育関係者にも聞いて確認しました。)

なぜなら、そもそも、そうした子たちを受け入れ、伸ばすという公的な制度が存在しないからです。

 

東大と日本財団のプロジェクトがはじまったので(アプローチは子どもの視点というよりも、かなり大人の視点かなとは思いますが)、少しづつ認知は進んでいるのが希望だとは思います。
異才発掘プロジェクト⇨https://rocket.tokyo/seminor/
では、ギフテッドに関する「絶対的」で「客観的」な認定基準が存在するかと言うと、海外でさえ、感情面も含む言動や親の観察を含めて、総合的に判断され、その中でも本人の自己申告と親による観察は大きな要素を占めるようです。
以下でカナダの認定方法の例を紹介しています。⇨goo.gl/2hmIsD
同時に、ギフテッドの子は賢く、周りの状況に敏感ですから、空気を読み、「違う」よりも「同じ」をよしとする日本社会の空気を暗に読み取り、はっきり能力を示さない、隠す場合は十分にあり得るだろうと思います。
また、残念ながら、理解のない先生や学校も多いだろうと思います。
状況によるとは思いますが、その判定に親としてやり直しを求めること、自分の子が「ギフテッド」に当たると思うことを伝えること、必要ならばその判定に対する異議があることを手紙にして、教育委員会に送ることはありだと思います。
学校だって間違いはあるでしょうし、完璧じゃないのですから、親はその決定に盲目的に従う必要はないと思いますし、違うと思うのなら、その旨をはっきりと伝えることが大切だと思います。
その意思表示をより公式にしたいのならば、学校もお役所の一部、つまり、書類主義ですから、手紙を出すのは一つの有効な手段だと思います。
そして、今の時点で大切なことは、親御さん自身が、自分のお子さんがギフテッドであるかどうか、に対して、どう感じているのかが一番大切なことだと思います。
そして、これがすぐに役に立つ回答になっていないことを十分に承知でお伝えしていますが、個人的には、最後は親の「信念」というか、「信じ続けること」がその子の才能を認め、守り、育んでいく、頼りというか、「砦」になるのではないかと感じます。
日本では子どもの資質を伸ばそうとするよりも、制度にあわせようという圧力が強いですから、もちろん、それを「貫く」ためには、勇気が求められることも多々あるでしょう。
周りにどんなことを言われようとも、反対意見があろうとも自分の感覚を信じる強さも求められることでしょう。
その時こそぜひこちらのカウンセリング・コーチングのサポートを上手に活用してください。
ギフテッドの娘さんを持つママをご紹介することもできます(娘さんはフリースクールに通っています。私も会ったことがありますが、とても賢いお子さんです)。
また、学校に対してどう伝えたらいいのか、など、私の方でもご相談に乗ることができます。

 

 

どうぞinfo@peaceblossom.netまでお気軽にご連絡・ご相談ください。

 

 

ギフテッド=頭のいい子ではない。ギフテッドと頭のいい子の違い

ギフテッドとは単に頭がいい子という訳ではありません。まず、その特徴を理解してあげてください。

 

頭のいい子( being bright)は答えを知りたがる

ギフテッド(gifted)の子は質問したがる。

 

頭のいい子は一生懸命勉強する。

ギフテッドの子はそんなに必死の努力がなくてもいい成績がとれる。

 

頭のいい子は注目する。

ギフテッドの子は全身で集中する。

 

頭のいい子は質問に答える。

ギフテッドの子は「答え」に関して質問する。

 

頭のいい子は簡単に学ぶ。

ギフテッドの子はすでに答えを知っている。

 

頭のいい子は相手を聞く。

ギフテッドの子は強い感情や意見を示す。

 

頭のいい子は教えられた情報を取り入れる。

ギフテッドの子は受け取った情報をさらに広い視点、ユニークな方法で発展させる。

 

頭のいい子は簡潔で明確な答えを求める。

ギフテッドの子は複雑さや深みを追求するのが好き。

 

頭のいい子は最後まで終わらせたいと思う。

ギフテッドの子は結果よりも学んでいる過程が楽しいかどうかが大事。

 

頭のいい子は同級生と一緒にいたがる。

ギフテッドの子は少し上の子や大人と一緒にいたがる。

 

頭のいい子は適度に満足する。

ギフテッドの子は自分に厳しい。(完璧主義)

 

The Journey: A Handbook for Parents of Children Who Are Gifted and Talented (complete guide) p.10

Alberta Associations for Bright Children (AABC) アルバータラーニング・カナダアルバータギフテッド協会共同作成より引用

ギフテッドの「認定」方法ーカナダギフテッド協会ガイドブックより

うちの子はすっごく賢いのにとっぴな質問をするからという理由で発達障害だとか、低知能だと判定される、といったケースがあるようです。そして、その関連で、「日本にはギフテッドに関する認定の機関はあるのでしょうか?」という質問を受けました。

 

ギフテッドというキーワードでの検索が最近急激に増えていること、中学生からも相談を受けるので、こうしたケースはけっこう多いのではないかと推測します。

 

明治時代に起源を持つ今の学校という「制度」は、かなり限界を迎えているのかも知れません。

 

ただ、米国大統領選の結果が示しているように、いろんな「制度」が破綻しつつあるので、これからは「おさまらない子」が活躍していく時代になるでしょう。

 

では、そもそもなんらかの分野で秀でた才能を持つとされる「ギフテッド」の子は、そもそもどうやって認定されるのでしょうか?

 

カナダのAlbarta Education・アルバータギフテッド協会共同作成の「The Journey: A Handbook for Parents of Children Who Are Gifted and Talented (complete guide) 」を参考にカナダの例を取り上げてみたいと思います。

 

カナダは学区や学校がより独立していて、それぞれ独自の制度や方式を採用できる権限があるようですので、これはカナダの中の一つの例としてお考えください。

 

まず、カナダでは、何を判断の基準にギフテッドかどうかを判断されているのでしょうか?

以下の7点が挙げられています。

 

1、総合的な知性(general intellectual ability)

2、学力(specific academic aptitude)

3、クリエイティブ・シンキング(creative thinking ability)

4、社会性(social ability)

5、芸術性(artistic ability)

6、音楽的才能(musical ability)

7、身体能力(kinesthetic ability)

 

これを見ると、知的能力や学力だけでなく、音楽や芸術やスポーツといった能力も含めてギフテッドの資質を伸ばすという考え方が根本にあることが分かります。

また、IQなどの知能テストは評価や認定一つの基準であって、クリエイティブシンキングや社会性などを含めて総合的に判断される、ことが読み取れます。

 

では、次に、こうした能力はどのような要素から判断されるのでしょうか?

以下の10項目が挙げられています。

 

1、学力テスト(achievement testing)

2、知能テスト(achievement testing)

3、創造性診断(creativity assessments)

4、本人の態度と興味・関心(student attitude and interest)

5、親による観察(parent observations)

6、発育過程(developmental history)

7、先生による観察(teacher observations)

8、学校の成績や作業など

9、発表や作品

10、音楽などの特別な才能のための評価

 

知能テストの他には、本人の態度と興味・関心が聞かれたり、親や学校の先生による観察という要素が挙げられています。

 

では、次に、ギフテッドかどうかの認定はどのような方法でされるのでしょうか?

以下は、カナダにおける認定のための手順です。

20の項目については、次のハンドブックを参照してください。(The Journey: A Handbook for Parents of Children Who Are Gifted and Talented p.16)

 

1、20の項目についての自己評価

好奇心が強い、学ぶのが早い、興味の範囲が広いなどについて5段階で自己評価を行われる。20の項目については、アルバータギフテッド協会作成の42のチェックリストに似ています。

 

2、本人が自分の興味や関心分野について自由に応える

今まで読んだ本で一番好きな物、最近興味のあること、将来なりたいもの、世界や社会のことで関心のあることなど20の項目について答える。

 

3、27の項目についての親の評価

好奇心が強い、考えるのが早い、自分で答えをみつけるのが好き、など5段階で親による評価を記入する。こちらの27の項目についても、アルバータギフテッド協会作成の42のチェックリストに非常に似ています。

 

4、親による観察・コメント

学校に入る前に文字を読んでいましたか?どんな活動をしていますか?どんな本が好きですか?どんなことに興味を示しますか?なにかこの子には資質があると感じた事について教えてください。感情面の資質などケアやサポートが必要だと感じることはありますか?など6項目の質問についてコメントする。

 

以上の手順についての詳細は、次のハンドブックの14〜19ページを参照してください。The Journey: A Handbook for Parents of Children Who Are Gifted and Talented、 Albarta Education・アルバータギフテッド協会共同作成

 

ここまで読まれた方はすでに気づいたかも知れませんが、ここから分かるのは、IQなどの知能テストは評価や認定一つの基準であって、「ギフテッド」というのは、本人の関心や興味の領域や感情面における資質も含めて総合的に判断され、そして、親や先生による観察も含めて判断されるということです。

 

また、「自己申告」や「観察」がある程度の大きな部分を示すということは、数式に当てはめるように、「絶対的」に「客観的」な基準は存在しない、とも言えます。ちなみに、このハンドブックには、判定に納得しない場合の対処法についても合わせて触れられています。

 

 

また、公的な制度以外のカウンセリングサービスや、ギフテッドの子たちのニーズに理解のある人のサポートを受けるベネフィットにも触れられています。個々のケースによるでしょうが、公的な制度は必ずしも完璧ではないし、カウンセリングといったサービスがより一般的に受け入れられている社会的な背景もあって、もし役に立つのならば上手に利用しましょう、というスタンスなのでしょう。

 

また、こうしたテストや判定についてどうやって子どもとコミュニケーションを持つといいか、またこうした体験をどうしたら子どもにとって有益な体験にできるのか、といった項目もあります。

 

そして、おそらく一番大切なポイントとして、このガイドブックは、ギフテッドの認定を受けること自体が目的なのではなく、その子にはどういう特質があって、どうやったらそうした特質をさらに伸ばせるのか、親が子どものことをより理解し、そうしたことに関して、コミュニケーションを持つきっかけにして欲しいと伝えています。

 

このガイドブックのタイトルは「旅」(Journey)です。認定を受けることが目的なのではなく、この過程を通じて、新しいことを発見したり、学んだり、挑戦したり、それぞれが成長する「旅路」という意味が込められているかも知れませんね。

 

nfo(at)peace blossom.net

 

ギフテッドのお子さんを理解するためのヒントとして、また、これから自分の人生の方向性やキャリアをみつけたい方、生きずらさを感じている方、もっと楽に正直に人生を生きたい方にお勧めです。

自分の軸で生きる練習ーオックスフォード・国連で学んだ答えのない時代の思考法

2020年5月27日に刊行となりました!

自分の軸で生きる練習ーオックスフォード・国連で学んだ答えのない時代の思考法

 

 

 

あなたの中に確信があるなら、批評を受けても平和でいられる。

「あなたの中に確信があるなら、例え批評を受けても平和でいられる。」

 

わたしが雑誌の連載を始めたばかりの頃、私が自分の記事に対するSNS上のコメントに一喜一憂する私に向けて先生が言ってくれた言葉です。

 

それ以来、半年間、毎回自分が何を書くべきか「内なる知恵」に耳を傾けることを学び、その感度が毎回増しているのを感じます。

 

今回は特に!!!

 

仮に編集者さんに頭をさげることになっても、「これは書かなければいけなない!」というかなり強い感覚がありました。

 

 

「自分」の利益を超えて書く時、書くだけで満たされるのですね。。。

 

それなのに(それだから?!)「最も読まれている記事」ベスト3にランクインしています。

 

震災があったから生まれたこと。

 

「世界のトップ」はなぜ東北を目指すのか? ハーバードとウィーン・フィルが教えてくれた震災後の真実|大仲千華 「答えを求めない勇気」

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https://courrier.jp/columns/66593/

 

ウィーンフィル献奏②.png

 ⬆️ 岩手県の浄土ヶ浜で行われた、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による鎮魂のための献奏。これまで計42人のウィーン・フィルの団員が東北を訪れ、宮城県仙台市・岩沼市、岩手県山田町、福島県郡山市・南相馬市で演奏活動を行っている。招待客の数は6300人にのぼる