では、燃え尽きを起こしやすい要因としてはどういうものがあるのでしょうか?
燃えつき症候群を引き起こしやすい要因
バーンアウトを起こしやすい要因としては、以下の点が挙げられます。
①「どこまでやっても終わりがない」
燃え尽き症候群が多く見られる職種としては、従来から教師、医師、看護師、ソーシャルワーカーなどが挙げられてきました。こうした「対人援助職」の仕事の特徴の一つは、仕事に終わりがないこと、どれだけ仕事をやっても患者や症状など、いつでも状況が求める状況に終わりがないこと、同時にそうした状況に対して、必ずしも目に見える成果や「達成感」に繋がるとは限らないことです。
②「この状況をどうすることもできない」
人間とは、基本的には、自分で考え、自分の能力を使って目の前にある問題を解決したいと望む生き物です。
一方的に決められた方針に従わざるを得ないのか、決定事項はどのように伝えられるのか、それとも、意思決定になんらかの形で参加できるのかどうか、自分が関わっている仕事において、または、目の前の状況に対して、なんらかの形で自分が能動的に関わっているという感覚を持てるかどうかは、動機付けを影響する大きな要因になります。
また、与えられた状況に対して、自分が望むように対処できないと感じる時、人は無力感を感じることがあります。
③ サポートやコミュニティーの欠如
燃えつきを引き起こす要因となりやすいもう一つの要因は、職場におけるサポートやコミュニティーの崩壊です。どんな組織や人の集まりでされ、お互いがお互いに対して深い関わりを持っていくには意識的な努力が要ります。果たして、このチームは長いこと続くのだろうかと思ったり、また、時には、あるポストをめぐって、メンバー同士が競争しなければならない場合などはお互いのサポートが特に難しくなります。
また、組織の理念と現場との状況に大きなギャップがある時、または、現場で必要とされることと逆に見えるような決定が行われたりすること、時には自分の考えとは違う組織の方針について説明したり弁明することになったり、時には相容れない選択が求められる場面に周囲のサポートがないような状況です。
④ 「対人援助過労」(caregiver fatigue)
対人援助職に従事する人の中には、自分が人の役に立っていると感じられることに充実感を感じ、それをさらなる原動力とモーチベーションとするタイプの人たちも多くいます。自分のためだけには頑張れなくても、なんらかのチャレンジに置かれても、自分の目に前の人の状況のためになんとかしたいと思うことで、大きな力を発揮するような人たちです。
同時に、自分の目の前にいる人がなんらかの苦痛を抱えている状態に対して、自分が何もできないと感じたり、自分が思うように応えられていないと感じると大きなストレスを感じます。
そういう時には、自分に対して落胆したり、無力感を感じたり、無意識レベルにおいては、「自分は価値がない」とも感じがちです。そうした無力感を補うために、必要以上にワーカホリックになることもあります。
また、「彼らはもっと困っているのだから、自分の悩みはとるに足らない」、「彼らはこんなに苦労しているのだから、私もそうあるべきだ」と、自分のケアよりも相手のケアを優先し、自分を犠牲にしてまで周囲の要求に応えようとします。
また、誰かの役に立つことと、自分のアイデンティティーが同一化されてしまうと、「なんとかしたい」「自分がいなければならない」と思うあまりに、何らかの問題が起こると、自分のせいじゃないかと、さらにストレスを溜め込みます。
また、「あの時はもっとこうできたんじゃないか?」「自分は十分にできていないのではないか?」といった失敗感を抱える傾向も高いのです。
こうした現象は、カウンセラーやソーシャルワーカー、医療従事者などの対人援助職の間で、「対人援助過労」(caregiver fatigue)と呼ばれています。援助する側と援助される側との関係性において健全な境界線(boundary)を持てなくなると、仕事での役割と個人としての人格を別けることが困難になるのです。
こうした傾向は、ある面においては、その人たちが元々持つ共感能が高いからこそ起こりうる現象でもあると言えます。自分の中にある他者への共感や人を思いやる気持ちが高いからこそ、自分が思うように応えられない事に対して、必要以上に厳しくなることがあるからです。
では、燃え尽きのよい根源的な要因とは何でしょうか?
今すぐに出来ることは何でしょうか?
燃え尽き症候群③ 燃え尽き症候群の間違った対処法 vs. より効果的な対処法