クーリエジャポン(講談社)で連載「答えを求めない勇気」を始め、第一回目の記事をご覧くださった方から感想をいただく中で、改めて思い出したことがありました。
記事はこちら⇨ Vol.1 紛争後の南スーダンで兵士たちから学んだ「答えのない状況に耐える力
一回目の記事の当時、私は自分のキャリアの中でも大きなチャレンジに置かれていました。
それは、プロジェクトマネージメントでも戦略立案でもなく、私はお金があっても水が手に入らないかも知れない環境におかれていたからです。
でも、人間って強い生き物。
そして、コミュニケーションのチャレンジは人を成長させてくれるようなのです。
私は、2007年2月、当時の国連の平和支援の最前線であった南スーダンに赴任しました。
(国連は基本的には自動昇進も自動更新もない自己志願制の組織です。)
ニューヨークから一旦、日本へ戻り、少し東京の実家で休んでから、(南)スーダンへ赴任しました。
成田空港から、香港とドバイを経由して、1日半かけてスーダンの首都のハルツームに到着。そして1週間くらいブリーフィングを受けてから、今度は国連機で南スーダンへ移動しました。
私にとって初めての南スーダン。
出張ではリベリアとシエラレオネには行ったことはあったものの、赴任になると気持ちがまったく違います。
チャレンジは覚悟していたものの、こればかりは実際に行ってみないと分からない。
まず暑い。。。
外は45度の灼熱。
一旦事務所を出ると電気がないから(発電機で発電するから)、ちょっと外に出るだけで体力は消耗するし、寝るのも一苦労。
お湯のシャワーはないし(後で改善されました)、携帯電話もほとんど通じない (当時)。
おまけに、時々、南北国境付近の妨害や雨季やらで物資の輸送が途絶えると、水が手に入らなくなる。。。(本当の話し)
「内陸国」という意味を実感しました。
ではオフィスではどうだったかと言うと。。。
さて、
アフリカ人の同僚たちには「正論」も「本部の理論」もまったく通用しない。
しかも、時々皮肉っぽく「ニューヨーク本部の人」とか言われる。(≧∇≦)
ああ、しかも、士気が低い。。。
ああ、どうしてここまで???
ニューヨークの本部にいることもできたのに、もしかしたら私はすご~くバカな選択をしたのかも知れない。。。
さすがの私にも、正直そんな考えが何度か頭をよぎりました。。。
ただ、もう南スーダンに来てしまったし、思ったより大変なので来週ニューヨークに戻ります、と言う訳にもいかない。
なにより、まず、自分が生き延びなければならない!
だって、お金があったとしても、私は水を手に入れることが出来ないかも知れないのだから。
人間の本能でしょうか。
私はオフィスの人達に笑顔で挨拶することを始めました。
まだ紛争が終わったばかりの土地です。
国連だってまだ信用を得ている訳ではありません。
土地柄、挨拶を交わすことは、文字通り、「私はあなたの敵ではありません。私はあなたを尊重しています。」ということをはっきりと示す意思表示でもありました。
この時ほど、意識してオフィスで会う人たちに声をかけていた時期はなかったと思います。
どこの社会もそうであるように、アフリカは特に人ベースの社会です。
携帯もメールも通じないからなお更。
「正論」も「本部の理論」も通じやしない。
頼れるのはまさに人。
こうして、私は文字通り「必要に迫られて」、オフィスにいる同僚たちと毎日挨拶を交わしながら、この人はどうしたら動いてくれるんだろうか~ということを試行錯誤していく事になったのです。
その流れの中で、傾聴の力を学び、相手の価値観や相手が本当に必要としていることに意識を向けることがあり、その中で、スーダン人民解放軍との関係づくりがあり、クーリエジャポンの記事で紹介させてもらったような「仲裁」的な仕事がありました。
なにより、その時に共に支え合ったオーストラリア人の友人との思い出話しは尽きません。パキスタン軍の人たちも、私と友人達をとても可愛がってくれて、よく本場の美味しいカレーを食べさせてくれました😊
こう書いてみると、けっして楽だとは言えない環境だったけれども、当時の状況が体験させてくれ、学ばせてくれた事は沢山あったものだと改めて気づきます〜。
何事にも物事には「両面」あるのですね。
大変だけど喜びをもたらしてくれるのも人。
成長させてくれるのも人なんですね。
日本にいると、よくも悪くも便利な分、コミュニケーションにはより意識的な努力が要るようにも感じる時もあるけれども、グッドニュースは、人間って底力と繋がれば何でもできるし、コミュニケーションという分野は、投資をするだけの価値が十分にあるということでしょうか。
私自身、そんな事を改めて思い出させてもらいました。
感想をお寄せくださったみなさま、ありがとうございました!
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