最近、二回続けて海外の友人からあのTEDトーク見た?と聞かれたTEDがあります。
このTED。なんと5年連続で全世界視聴総数がベスト5内にランクインし続けています。
日本では、彼女の二冊の本が両方日本語に翻訳されていて、一冊目は本田健さんによる訳書でベストセラー入りしています。
さて、その話題のテーマとは???
Power of Vulnerabilityです。
はて、Power of Vulnerabilityとは???
日本語にするのが少し難しい表現なのですが、
「生身をさらす勇気」とか「ありのままであることの力」
などと訳することができると思います。
とくに今時代が大きく変わりつつある中で、
今までの自分の小さな世界を超えて新しいことを始めたいと思う時、
まったく違う分野に足を踏み入れようとする時、
自分がまったく初心者として何かを一から始める時、にとても関係あります。
例えば、私も原稿を書こうとする時(ずい分と少なくなってきましたが)「この記事いったい誰が読むんだだろう」といった「ささやき」がやって来るのを感じていたからです。。。
他に「生身をさらす時」(vulnerableに感じる時)はどういう時かと言うと、
・昇進したけど成功する自信がない時
・愛していると伝えたけど、相手の気持ちが分からないとき
・妻・夫・パートナーをセックスに誘うとき
・新しいことに取り組むとき
・一般受けしない意見を言うとき
・新製品に何の反応もないとき
・3度流産した後で妊娠がわかったとき
・恋に落ちたとき
・自分の作品や文章を発表するとき
・離婚後初めてデートをするとき
・批判やうわさに立ち向かうとき
・家族をなくしたばかりの友人に電話をかけるとき
などです。
うんうん。本を読みながら頷いてしまいます。
グッドニュースは、心理学者として何千人もの人をインタビューし、それまでの10年にも及ぶ研究の成果と合わせて、彼女がこの「仕組み」を解明してくれていること、
そして、
これはほとんどの人が体験するパターンで、けっして一人だけの悩みではないということです。
では、こういう時の、人を悩ますパターンはどういうものでしょうか?
1、自分の価値と作品の評価が結びつくと思うと、人に見せようとしなくなる。
見せるにしてもリスクを減らすために、独創性や斬新さをそぎ落してしまう。心のままに生み出したものを差し出すのは、あまりにも大きな賭けだから。
2、期待通りの反応が返ってこないと、ぺちゃんこに潰れてしまう。
独創性をそぎ落とさずに見せたとしても、作品の評価がダメなら自分もダメ。フィードバックを求めたり、再挑戦したり、一からやり直すということもなく、心を閉ざしてしまう。「だからやめとけばよかったのに」、「あなたでは無理だ」とエゴが耳元でささやく。
では、周りから高く評価されればいいかと言うと、今度は「有能であれ、完璧であれ、人を喜ばせよ」という完璧主義の呪縛にはまって、自分を苦しめることになる。。。
完璧主義の呪縛については→ 完璧主義は向上心ではないー「人からどう見られるか」から「私はこれでよい」へ
見えないところで創造性やイノベーションを潰しているのはこうした不安や恥の意識だと言うのです。
誰でも傷つくのは怖いし、批判されたら腹が立つし、失敗したら恥ずかしい。
でも、ブレネー・ブラウンは言います。
このVulnerabilityから扉を閉ざすことは、人生の情熱や目的や意味を遠ざけることにもなってしまう、と。
なるほど。。。
こうしたことが言語化されていて、この悩みをもっている人が世界中にいること、TEDをよく見る人たちというのは、「教育レベルの高い人」「エリート層」が多いと言われている中でこのテーマ自体が5年連続で上位にランクインし続けているという事実に少し「ホッと」とします。
では、私たちはどうしたらいいのでしょうか?
ブレネーブラウンが、家庭、学校、企業などで5,000人以上もの人達にインタビューして、Vulnerabilityと創造性がどう作用しているかを研究して分かったのは、傷つく怖れを超えて、Vulnerabilityを力にできる人には以下のような共通点があるということです。
自分の弱みや限界を受け入れていること、
自分がどういう時に傷つきやすいかを認識する力を育んでいること、
積極的にフィードバックを求めること、
受け入れることの力があること、
失敗から学ぶ姿勢を持っていること、などです。
「不確実性」や「傷つく怖れ」は誰にとっても居心地の悪いことなので、何とかして避けようとします。
ある時は、何も感じないように自分の心を麻痺させてみたり、クールに装ってみたり、時には、先手を打って誰かを攻撃したり批判したり。。。
ブレネーブラウンは、弱みを受け入れることこそ本当の強さであって、それらの「精神的な武装」を捨ててこそ、
「Vulnerability」が、創造性やイノベーションの源泉になると言うのです。
このスピーチの後、彼女のところには、アメリカ中のCEOや企業から講演の依頼が殺到したそうです。
「Power of Vulnerability」は、別の言い方をすると「自分がありのままである」とも言えますね。
自分が自分の弱みも強みも受け入れ、自分が自分であれば、自然とそこから表現されるものがあって、自分であること自体が創造性やイノベーションを生むのです。
自分が自分であること、ありのままの力すごしです!
ブレネーブラウンのスピーチはこちら (日本語字幕付き)