ここまでは、リスクは、脅威のレベルを適切に認識し、脆弱性(vulnerability)に対して働きかけることができるという考え方を紹介しました。
ただ、こちらは脅威に対して、こちら側の脆弱性に対して対応するという受身的な対策しかできないのでしょうか?
次には、脅威のレベルを適切に認識し、それに対する脆弱性(vulnerability)を下げると同時に、どうしたら相手の動機に働きかけることができるか?
別の言い方をすると、③ こちらは相手にどう働きかけることができるのかという視点を見ていきたいと思います。
リスクは脆弱性(vulnerability)を下げ、また相手の動機に影響力を及ぼすことによって、予防の割合をより高くすることができます。それをここでは、「仲裁的予防」と呼びます。
仲裁的予防とは、相手の関心やニーズ、心配事を含め何が相手のインセンティブになるかを全体的に捉え、能動的に働きかける考え方です。 そのための視点は以下の5つの点です。
◯ ポジション (Position)⇒ 彼らの公式な見解・ポジションは何か?
◯ 心配事 (Concern)⇒ 彼らの心配事は何か?
◯ ニーズ (Needs)⇒ 彼らのより深いレベルにおけるニーズは何か?
◯ 動機 (Motivation)⇒ 相手にとっては何がインセンティブになるか?
◯ 圧力 (Pressure/Disincentives)⇒ 相手にとっては何が圧力になるか?
これらをまとめると、脅威は脅威のレベルを適切に認識し、それに対する脆弱性(vulnerability)を下げ、相手の動機に働きかけることにより、積極的に紛争を予防することができる、ということができます。
ここまでをまとめると以下のようになります。
ある状況が本当に危険なのか?を判断するためには、
① 相手の意図や動機、目的は何なのか?を理解すること (脅威)
②こちらが相手にどう見られているのか(脆弱性)
③ こちらは相手にどう働きかけることができるのか (影響力)
の三点です。
特に、自分が思っているイメージ、または、こちらが伝えたい印象と現地の人が受けとっている印象の間にギャップ?があることがあります。例えば、このような質問が役に立ちます。(続)