クリントン大統領はとても聞き上手だったそうです。
相手の話しを聞く時は、「あたかも目の前の相手しか世界に存在しないように」聞いていたそうです。
最近は、アクティブリスニングという概念があったり、「聞く力」という本がベストセラーになったりと、「聞く」ことの重要性はなんとなく分かってはいても、その効果を本当に体験している人は実は案外少ないのかも?と感じます。
私自身が、「聞く」ことの効果を実感したのは、国連の平和支援の最前線であった南スーダンで多国籍チームのリーダーになった時のことでした。
「わたしに務まるんだろうか?」という思いの中で、わたしの肩を押してくれたのは、南スーダンの現状に触れる中で募っていた「私ならもっとこうするのに」という想いでしたが、それは思った以上の難関でした。
アメリカ、アフリカ、アジア等国籍がばらばらの人たちが突然何もない南スーダンに召集され一緒にチームを組むことになるのです。しかも、紛争が終わったばかりの南スーダン。住居もシャワー等の設備さえ限られる事もある極めてストレスベベルが高い中での生活と勤務です。
「さあ、チーム会議だ。」
「いいところを見せよう。」
こちらの意気込みとは裏腹に、会議では全員がストレスを発散するかのような発言や、チームとしての議論に繋がらない自己アピールのような発言ばかりが続きました。。。
コミュニケーションもけっして良好とは言えないかなりギスギスした感じでした。
メールも仕事も山のように貯まる一方で、毎晩疲れ果てて宿舎に戻る毎日。
すぐにこのままでは燃え尽きるのは時間の問題だと気付きました。
さてどうしよう??
試行錯誤の毎日。
正直分からないから、メンバーが求めているもの、政府の人たちが求めているものを理解することから始めようと思いました。
首都から離れている地域に派遣されているメンバーには特に意識をして時間をとって、1週間に1回をめどに彼らに電話をして、ともかく彼らの言うことに耳を傾けました。
その中で、それ自体が私の大きな強みであることを発見していきました。
日常的に「聞いてもらっている」・「見てもらっている」という体験があったからでしょうか。会議での自己主張合戦は収まり、会議もいつの間にか自然に回っていくようになりました。
そして、同時に、地元の知事や大佐、敵対する人達同士が言うことにも耳を傾けました。
争いのある環境だからこそ、人は理解されることを切実に求めている事に気づきました。
そして、聞くことによって、初めて少しだけ分かっていた彼らの本音というのが分かってきました。
そうした、彼らに対する理解こそが、私の「大きな武器」となっていきました。
争いの根が深いと言われたスーダンでさえ、個人レベルでは争い合う人の間で信頼関係が生まれることを体験したのです。
その時の同僚だった人たちが今でも誕生日にメッセージをくれるのはとても嬉しいことです。
いろんなリーダーや偉人がいろいろな言い方で伝えている「聞く力」。
女性で管理職・リーダー職になる人にとって大きな力になると思います。