ガンジーもビルゲイツも内向型だった!: 内向型人間の持つ強み (3)

米軍の特殊部隊を採用するために使われる試験のうちで、もっとも難しいものは、射撃技術でも格闘能力でもなく、人里離れた道をただ走らせるという試験だそうです。

 

この試験がなにより苦しいのは、フル装備をつけて走ることもさることながら、どれだけ走るのかを教えてもらえないこと。

5キロでいいのか、20キロなのか、はたまた50キロか?

勢いよく飛び出す人もいれば、慎重にエネルギーを温存して走り出す人。。。

 

27キロのフル装備を背負い、体力を消耗する中、もっとも辛いのは、肉体的疲労よりも、どこまで行けばこのレースが終わるのかわからないという精神的な疲労。

その重圧に耐え切れず、多くの候補生が脱落する。。。

 

この試験が見ている資質っていったい何なのでしょう?

 

「この先に何が起こるのか明確にわからない状況に耐え、モーチベーションを保ち、周囲からの支えも受けながら自分の意思と判断を信じて進む」という資質だそうです。

 

その資質こそが特殊部隊でも、個人の関係でも、ビジネスでも、子育てでも役に立つものとして捉えられているのです。

 

ここでは、「答えがない状態をホールドできる力」として表現したいと思います。

 

私自身、自分のこの資質がリーダーシップにも紛争解決にもとても役に立つと認識した体験がありました。

 

私が南スーダンで働いていた時の仕事の一つに、

和平合意が守られているかどうかをお互いに確認するための定期会合に文民の一員として参加するというものがありました。

 

世界の中でも最も争いの根が深い紛争の一つとされた南スーダンでは、和平合意が結ばれた後、定期的に和平合意を結んだ本人たちが定期的に集い、国連が提供する中立の場所で、和平合意が守られているかどうかをお互いに確認するという制度がありました。

 

(不信が強い中で、和平合意が結ばれ守られるためにいろいろな仕組みがありました。)

 

その定期会合は、国連の役割の中でも最も重要なものの一つで、かなりの緊張を強いられる会合でした。

 

なぜなら、「こんなことがあった (怒り)。これは和合意違反じゃないのか?」等々、お互いが不信をぶつけあうのです。

 

一方通行な発言と怒りとフラストレーションの応酬が続き、答えの見えないまま、時に何時間もそれを聞き続けるのです。

 

ほとんどの人がその会合にいるだけで疲れると言う一方で、私は、そんなフラストレーションの溜まりがちな「答えのない状態」に比較的に耐性があったのだと思います。

 

確かに、特に紛争後の社会というのは、この会合だけじゃなくて、平和が根付くかも知れないし、根付かないかも知れない、答えなんてない極めて不確実性の高い環境です。

 

気が遠くなるように思うことはあったけれども、私にとって、その会議は、彼らの本音を垣間み、彼らのことを理解する貴重な機会でした。

 

あの人はなんであんな事を言ってるんだろう?

あの人が本当に訴えようとしている事は何だろう?

 

何時間も何度も彼らの言うことに耳を澄ましている内に、会議で何度も顔を合わせている内に、徐々に彼らと信頼関係が生まれてくるのを感じました。

 

私が彼らのことを本当に理解できたかは分かりませんが、少なくとも、こちらが理解しようとしている姿勢は伝わるらしいのです。

 

ある時、会合が午後も継続という時、国連が用意したランチの席で、スーダン軍とスーダン解放戦線と一緒に同じテーブルを囲み、ジョークを言い始めた時の彼らは、当たり前だけれども一人の人間でした。

(ところで、一緒にご飯を食べることにもすごい「紛争解決力」があると思います。)

 

そして、時には、ヘリコプターに乗って一緒に「現場」に行く作業を続ける内に、彼ら自身の間でも、個人レベルでは信頼が生まれるのを見たのです。

私はこの体験のおかげで、紛争のニュースを聞いても、個人レベルでは信頼関係が生まれることは可能だと信じています。

 

Chika helicopter

 

中立でいる事の大きなポイントは、アドバイスはしない、あくまで第三の「場を保つ」ことなので、ここでもやはり「聴く力」と「ホールドする力」は大きかったと思うのです。

 

外向型のタイプがすぐに答えを知りたい、出したい、答えがないものは耐えられない、という傾向があるのに対し、内向型はまず「観察する」という傾向があるので、答えのない状態をホールドしやすいのだと思います。

 

そして、リーダーになるのは嫌です、という内向型の人ほど、そんな人たちがいざリーダーシップをとる時、それは秘められた力が外に放たれるような大きな力として発揮されるようなのです。

なぜなら。。。

 

ガンジーもビルゲイツも内向型だった!: 内向型人間の持つ強み (4)に(続く)

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投稿者: blossomjp

80カ国以上もの人達が ー文化も言葉も職歴も違う人達が ー アフリカの僻地で出会い、突然「国連軍」として「国連警察」として「国連職員」として仕事を始めることになっった。。。 国連に「出稼ぎ」に来ている人もハーバード卒業の「エリート」もみんな一緒。カオスでにぎやかな現場で80カ国の人たちが一緒に平和を築くためには?!

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