前回、共感マップ(Empathy Mapy)というツールを紹介しました。共感マップとは、スタンフォード大学のデザインスクールやMBAなどでも取り入れられいるツールで、その人たちが本当に求めているものは何かというインサイト(洞察)を探るのに使われます。
ビジネスにおける商品開発はもちろん、途上国における本当の課題は何なのか?その課題に対してビジネスはどうアプローチできるのか、に使われます。途上国向けのデザインは、design for extreme affordabilityとして知られています。
私の国連時代の上司も米国務省と国連でのマネージメント職を経て、ミッドキャリアでスタンフォードのこのコースで学んだこともあって、彼女からもいろいろな事例を聞いたものでした。
その中でも、ネパールの未熟児のための着ぐるみの例がよく知られています。
ネパールでの問題の一つとして、乳児死亡率の高さがありました。そこで、スタンフォードのチームがネパールで共感マップを元に聞きとり調査をしました。
それで分かったのは、まず病院までの距離が遠いこと。未熟児で生まれた子供のほとんどが病院に着くまでに亡くなっていたのです。保育器がある病院は数件あったものの、一台200万円もする保育器が故障した時に直せる人もメインテナンスする人もいなかった。
そこで、彼らが考えたのが、ホッカイロのような保温機能をつけた着ぐるみでした。25ドルで販売するまでにこぎつけました。
http://extreme.stanford.edu/projects/embrace
保育器ではなくてシンプルな着ぐるみがあるだけでいいー共感マップを使う一つの利点は、一見複雑な事象を日常的な相手(利用者、カスタマー)の視点でシンプルにすることでしょうか。
ソーシャルとビジネスの融合の例の一つです。