そんなことを聞いたらバカだと思われるんじゃないか?そう思って言うことをためらってしまうことってありますよね。でもそういう時こそが重要なことが含まれていたりします。
特に女性の強みとして、本当に重要なことは何かを直感的に感じ取れる能力というのがあると思います。
沈没した豪華客船として知られるタイタニック号の悲劇の一つは、2000人収容の客船でありながら、200人分の救命設備しか用意されていなかったことだといいます。当時、タイタニック号は誰もが乗りたがる世界中の憧れでした。「この船が沈む訳はない」と言われていたそうです。
2000人収容の客船なのに、200人分の救命設備しか用意されていない事実を多くの人が知りながら、それについて聞くことが許されない雰囲気があったのでしょうか、誰一人として、もし万が一事故が起きたら場合の救命設備はどうなっているのですか?」と聞くことができなかった。。。
「そんなことを聞いたらバカだと思われるんじゃないか?」と思ったのかも知れません。。。
実はこういうシチュエーションはよくありますね。特に優秀な人が集まる組織や優秀だと思われているチームでは特にです。
なぜなら、こんな簡単なこと言ったらバカだと思われるんじゃないか、もっと優秀そうなこと?鋭いことを言わないといけないんじゃないかというプレッシャーが自動的に働くからです。
冷戦終結後の激動の時代に国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんの功績の一つに、難民という法的カテゴリーに当てはまらない人達の対する保護への道を拓いたというものがあります。
難民と呼ばれる人は、国境を越えて逃げた人です。
別の言い方をすると国境を越えた人たちに対して支援はできるのですが、当時トルコ側が国境を封鎖し、イラクから戦火を逃げていた人が国境を越えられず国境近くで避難生活を送る、という状況がありました。
実質的には「難民」なのですが、法的には「難民」の定義に当てはまらないから私たちは支援はできません、とスタッフに言われたそうです。
それに対して緒方さんの指示はとてもシンプルでした。
「私の基準は明確です。一番重要なことは人間を人間として扱うこと。だとしたらやるべきことは明快です。戦火から逃げ、水と食料をシェルターを必要としてる人に必要な支援を今すぐに届けること。机上の線を越えた越えないは関係ありません。」
この「当たり前」のことー当時は誰も言えなかったことを始めて言えたのは緒方さんでした。