さて、世界を舞台にして働く時、特に多国籍なチームにかかわる時、または多国籍な環境でリーダーになった時、意識しておいた方がいいことは何でしょうか?
リーダーシップにかんする基本的な考えは同じだと思いますが、やはりそれぞれの出身国の特質というものもあり、それを含めて多様性をどう活かすのかがチャレンジングな点でもあり、同時に面白い点だと思います。
この点についてすごく意識をさせられたのは、アジアと中東8カ国の軍隊にトレーニングをした時でした。トレーニングの目的は「戦う軍隊」から国連の平和維持活動に参加するための「話しあえる軍隊」になってもらうこと。
対象国は、ネパール、スリランカ、フィリピン、バングラデシュ、モンゴル、ヨルダン、タイ等でした。全員が同じ演習をこなすのですが、それぞれのパフォーマンスにはそれぞれの国の特質が見事に表れたのです。
ある演習で、タイの軍隊が私の目には「および腰」のように見え、「本番ならどうすんだ!」と自分でもびっくりする位内心けっこう怒っていた時がありました。その事について愚痴っていたら、スーダン・ダルフールでの元PKO司令官を務めた方が、私に何気なく言ってくだったのです。
「いろいろな国の部隊が同じ目的のための参加しているところがチャレンジでもあるけど強みだよ。」と。
たしかに!
もっとタイという国の軍隊について理解してみようーきっとタイという国の人たちが得意な分野があるはず!と意識を向け始めたら、彼らは上下関係を重視する国柄なのですがどうやら上官の意思伝達が誤解されて伝わっていたようだったことが判明しました。そして、次の演習では素晴しいパフォーマンスをはじめました。
そしてさらに!
演習後に行なわれていた、国別対抗のサッカー大会でタイチームは気がつけばぐんぐんと勝ち抜き、もっと大柄なヨルダンやネパールチームを断然に引き離して見事優勝したのです。
私はサッカーは詳しくないのですが、パス回しとチームワークが抜群だったと聞きました。
サッカー大会で優勝できたなら演習が出来ないはずがない!、と私の中の早まった見方を反省したのでした。
どんな人でも得意な分野がある。
そこに目を向けて伸ばし、活かすことー
さらにいろんな国の特性や多様性が上手く活かされたら?
ダイバーシティー(多様性)を強みとして見れることーリーダーシップの一つの特質だと思います。