南スーダンで元兵士の社会復帰支援をしていた時のことです。
ある時自称50才の元兵士3人組の方にお会いしました。
40年近くも続いた内戦の影響で、栄養状態も悪いので南スーダンの平均寿命は40歳~50歳程です。
南スーダンで50才と言えば日本の80代の感覚です。
頭には白髪もあって、顔にはしわも拡がっていました。
会った場所は南スーダン人の友人が開講したばかりの小さな大学でした。大学と言っても小さな建物があるだけです。たまたま、そこに見学に来たところでした。
単純にそのことに興味を持った私は彼に聞いてみました。
「どうしてこちらに見学に来られたのですか?」
すると、小学校を終える前に紛争に巻き込まれてしまったこと、今から小学校には入れないため、こちらの大学で勉強をさせてくれると聞いたので来たということを教えてくれました。
そして、彼は私の目をまっすぐに見つめて言いました。
‘I was fighting in bush all my life. I want to go to school before I die.’
「わたしは人生のほとんどを戦って過ごしてきました。学校へ行ってから死にたいのです。」
紛争で家族や故郷から離れていた人たち、特に元兵士の人たちが故郷に戻る時、彼らは家族に対する自分の「役割」を果たすという意味でも、収入を得ることを優先します。だから、この選択はけっして軽いものではありません。
それでも、あえて、この50才の元兵士の人たちは学校へ行きたいと毎日何キロも歩いて通ってくるのだそうです。
学校へ行くということ ー
それは、彼にとって、
「人間である」ことの象徴なのだと理解しました。
⇧ 開講したばかりの「大学」。屋根などの資材はウガンダから一つづつ運ばれてきた。