「歴史的な瞬間」?!ー「そんなの無理だよ」が気づいたら実現に向かっている。南スーダンでも東ティモールでも、現場の空気が一変する瞬間が確かにありました。
南アフリカにおけるアパルトヘイト撤廃の過程を考える時、平和に黒人政権に移行できたことは今さらながらすごいことだと思います。
なぜそれが可能だったのか?
マンデラさんとANCのトップにはある危機意識が強くあったそうです。黒人政権に移行する時代の流れは止められないだろう、と思いつつも、黒人住民の白人住民に対する不信はとても強く、いつ暴動が起きてもおかしくない状況でした。しかも、白人住民が牽引してきた経済はこの先どうなるんだろう?と。
1992年、政治家、労働組合、ビジネスマン、活動家、学者ー黒人と白人がはじめて一緒に南アフリカの将来を考えるために集ったそうです。
シナリオプランニングというツールを使って出てきた将来のシナリオは4つ。
1、アパルトヘイトの持続
2、弱い政府によるスローで決断力のない変革の推進
3. 民衆中心主義の政府による急激な変革の推進と経済の破綻
4. 成長と民主化を共に実現する持続可能な政府の政策
その時、マンデラさんとANCのトップが気づいたこと。それは、このままでは3のシナリオに進み、南アフリカは破綻するだろうということ。将来のためには4に進むしかないことをその時にメンバーと共に強くコミットされたそうです。
そして、シナリオの完成した2年後の1994年、全人種参加の総選挙が実施され、ANCが勝利し、マンデラ議長が大統領に就任します。こうして、誰も想像し得なかった流血なき民主化の流れが作り上げられたというわけです。その後、シナリオプランニングはコロンビアの紛争解決、アルゼンチンの司法改革などに使われているそうです。
対話やシナリオプランニングなどなど、こうした手法を組織やコミュニティー、紛争解決のためにどのように使えるのか?現場とメソッドの橋渡しをしていきたいと思います。