世界で一番新しい国の一番新しい大学の生徒に書いてもらったエッセイが手元にあります。南スーダン人のジョンボスコさんが私財を投じ開講した大学、South Sudan University of Science and Technologyの生徒さんです。
「新しい国に役に立てる人になるために教育を受けたい」「学校へ行ってから死にたい」という人達に教育を届けたいという想いで大学が開かれました。そんな彼の意気込みに感化され、小さな奨学金を設けることになり、エッセイを書いてもらったら、思った以上の力作が集まりました。
(写真上)ウガンダから屋根などの地道に資材を運びようやく第一段の校舎が完成。(写真右)大学開設に奮闘中のジョンボスコ
住民投票で独立が決まって間もない2011年1月だったので、独立に関連したものになりました。「『南スーダン』が『スーダン』の体験から学び、新しい国の国づくりに活かすことは何ですか?」「新しい国をまとめるのに必要なことは何ですか?」「南スーダンのビジョンは何ですか?そのためのあなたの役割は何ですか?」「独立が決まったばかりの南スーダンが世界に教えられることは何ですか?」これらのテーマの内から自由に一つを選んでもらいました。
国をまとめる原動力になるものは何か?暴力の連鎖を断ち切るものは何か?何が人々を和解に向かわせることになるのか?紛争地で仕事をしてきた私自身一緒にヒントを考えたいという想いでした。
南スーダンは2011年7月の独立を経て、2013年12月以来、再び政情不安が起きていますが、今読み返してみると、これらのエッセイに書かれていることに驚きます。南スーダンの人はまさに今の状況で何が大切なのかを十分に知っている、と感じます。
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住民投票の日には一票を投じるために並ぶ人の長い列ができていました。何時間もかかりましたが自分の順番を待ち続けました。すぐ暴力に訴えると言われる南スーダンの人たちですが、脅しも暴動も全くありませんでした。とても平和な雰囲気の中で投票が行われました。それは、差別ではなく平等に扱われること、争いではなく平和を選ぶという意思表示でした。長年の願いが叶った瞬間でした。誰も私たちの尊厳を奪うことはできません。
私たちは植民地と独裁政権を体験をしたからこそ、平等に扱われることの価値を知っています。だからこそ、民主的な国を作ることができます。
私たちは長年の「敵」であったスーダン共和国と最高の友好関係を築きます。私たちは国際連合の加盟国となりその友好の精神を国際社会に伝えます。それが、わたしたち南スーダンが「世界へ教えられること」です。